专利摘要:
RG-1結合複合体が標的細胞内に内在化されるかどうかにかかわらずパートナー分子がその効果を発揮する、該パートナー分子、例えば薬物、放射性同位元素、および細胞毒素に結合した抗-RG-1抗体、抗体フラグメントもしくは抗体模倣体は、癌の治療に有用である。
公开号:JP2011505371A
申请号:JP2010536173
申请日:2008-11-26
公开日:2011-02-24
发明作者:サンジーブ・ギャングウォー;ジョセフィーン・エム・カーダレリ;ジョナサン・エイ・テレット;チェタナ・ラオ−ナイク;チン・パン;デイビッド・ジェイ・キング
申请人:ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニーBristol−Myers Squibb Company;
IPC主号:A61K39-395
专利说明:

[0001] 本発明は、癌などの疾患の治療において、結合RG-1が標的細胞内で内在化されるかどうかにかかわらずパートナー分子がその効果を発揮する、該パートナー分子に結合した抗-RG-1抗体を提供する。]
背景技術

[0002] 細胞傷害性化合物に結合した抗体-パートナー分子が、癌を含めた疾患の治療のために開発されている。通常、この技術は、抗体/抗原複合体が標的細胞に内在化され、次いでパートナー分子が放出および/または細胞内で活性化される、抗原標的に限定されている。そのような複合体はまた、一般的に、抗体-薬物複合体もしくはADCとして知られている。]
[0003] そのような「内在化-ベース」システムを用いて治療され得る疾患の例は、前立腺癌である。前立腺癌は男性においてよく見られる疾患であり、45歳以上の男性の約3分の1が発症している。遺伝的要因および環境的要因の両方に関する証拠があり、症例の大部分はおそらく両方の因子の組み合わせによりもたらされる。]
[0004] 前立腺癌は通常、理学的検査および前立腺特異抗原(PSA)の血清濃度によって診断される。根治的な前立腺切除が、限局性疾患に対して選択される治療である。進行した転移性疾患は、現在、アンドロゲン除去療法もしくはGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)による治療によって、および抗アンドロゲン療法によって治療される。しかしながら、進行した疾患は、ほぼ常にホルモン耐性となり、進行性疾患に対する治療法はない。その上、根治的な前立腺切除およびアンドロゲン除去療法の両方に関連した重篤な副作用がある。内在化-ベースシステムはそのような治療的アプローチに代わるものとして期待されうる一方、初期および後期前立腺癌の両方に対する新しい治療的アプローチが依然として強く必要とされている。]
[0005] ポリペプチドRG-1は、細胞外マトリクスタンパク質のミンディン/F-スポンジン(Mindin/F-spondin)ファミリーのホモログである(特許文献1)。それは前立腺組織において高く発現しており(特許文献2)、従って、前立腺癌およびそれが発現される他の癌(例えば膀胱癌)の診断および療法に対して有用な標的となりうる。Harkinsらの特許文献3は、ヒト抗-RG-1抗体、ならびに癌の検出および治療におけるその使用について開示している。本発明者らは、予期せぬことに、RG-1は抗体の結合後に内在化されないという事実にもかかわらず、RG-1抗体とパートナー分子の複合体が異常なRG-1発現に関連した障害の治療に有効であることを発見した。]
先行技術

[0006] 米国特許第5,871,969号
国際公開第98/45442号
米国特許第7,335,748号]
発明が解決しようとする課題

[0007] (発明の開示)
本発明は、RG-1に高親和性で特異的に結合する、単離された抗-RG-1抗体-パートナー分子複合体を提供する。本発明はまた、そのような複合体を用いて癌(例えば前立腺癌および膀胱癌)を治療する方法も提供する。]
課題を解決するための手段

[0008] 一実施態様において、抗体-パートナー分子複合体は抗体もしくはパートナー分子に結合したその抗原結合部分を含有し、ここで、該抗体もしくはその抗原結合部分はヒトRG-1を結合し、該複合体は、以下の特性:
(a)1 x 10-8 M以下のKDでヒトRG-1に結合するか;または、
(b)in vivoにおいてRG-1-発現細胞の増殖を阻害する、
のうち少なくとも1つ(および好ましくは両方)を示す。]
[0009] 好ましくは、該複合体の抗体部分はヒト抗体であり、より好ましくはヒトモノクローナル抗体である。また好ましくは、該抗体もしくはその抗原結合部分は:
(a)配列番号:13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号:15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)か;または、
(b)配列番号:14のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:16のアミノ酸配列を含むVL
を含有する基準(reference)抗体によって認識されるヒトRG-1上のエピトープへの結合に対して交差競合する。]
[0010] 好ましい実施態様において、該基準抗体は、配列番号:13のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:15のアミノ酸配列を含むVLを含有する。別の好ましい実施態様において、該基準抗体は、配列番号:14のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:16のアミノ酸配列を含むVLを含有する。]
[0011] 本発明の複合体の、特に好ましい抗体またはその抗原結合部分は:
(a)配列番号:1を含むVHCDR1;
(b)配列番号:3を含むVH CDR2;
(c)配列番号:5を含むVH CDR3;
(d)配列番号:7を含むVL CDR1;
(e)配列番号:9を含むVL CDR2; および、
(f)配列番号:11を含むVL CDR3
を含有する。]
[0012] 本発明の複合体の、別の特に好ましい抗体またはその抗原結合部分は:
(a)配列番号:2を含むVHCDR1;
(b)配列番号:4を含むVH CDR2;
(c)配列番号:6を含むVH CDR3;
(d)配列番号:8を含むVL CDR1;
(e)配列番号:10を含むVL CDR2; および、
(f)配列番号:12を含むVL CDR3
を含有する。]
[0013] 別の態様において、本発明の複合体の、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は:
(a)配列番号:13および14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVH; ならびに、
(b)配列番号:15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVL;
(ここで、該抗体はヒトRG-1を特異的に結合する)を含有する。]
[0014] 好ましい前述の組み合わせは:
(a)配列番号:13のアミノ酸配列を含むVH;および、
(b)配列番号:15のアミノ酸配列を含むVL
を含有する。]
[0015] 別の好ましい前述の組み合わせは:
(a)配列番号:14のアミノ酸配列を含むVH;および、
(b)配列番号:16のアミノ酸配列を含むVL
を含有する。]
[0016] 該抗体は、IgG1もしくはIgG4アイソタイプ、または抗体フラグメント(例えばFab、Fab'もしくはFab'2フラグメント)、あるいは単鎖抗体といった全長抗体であり得る。]
[0017] 別の態様において、本発明は、細胞を本発明の抗体-パートナー分子複合体と接触させることによりRG-1-腫瘍細胞の増殖を阻害することを含む、RG-1-発現腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関連する。]
[0018] 別の態様において、本発明は、有効な量の本発明の抗体-パートナー分子複合体を患者に投与することにより患者の癌を治療することを含む、治療を必要としている患者において癌を治療する方法に関連する。好ましくは、該癌はRG-1発現細胞により特徴づけられるものである。]
図面の簡単な説明

[0019] 図1Aは、19G9ヒトモノクローナル抗体のVHのヌクレオチド配列(配列番号:17)およびアミノ酸配列(配列番号:13)を示す。CDR1(配列番号:1)、CDR2(配列番号:3)およびCDR3(配列番号:5)領域に線を引いてある。図1Bは、19G9ヒトモノクローナル抗体のVLのヌクレオチド配列(配列番号:19)およびアミノ酸配列(配列番号:15)を示す。CDR1(配列番号:7)、CDR2(配列番号:9)およびCDR3(配列番号:11)領域に線を引いてある。
図2Aは、34E1ヒトモノクローナル抗体のVHのヌクレオチド配列(配列番号:18)およびアミノ酸配列(配列番号:14)を示す。CDR1(配列番号:2)、CDR2(配列番号:4)およびCDR3(配列番号:6)領域に線を引いてある。図2Bは、34E1ヒトモノクローナル抗体のVLのヌクレオチド配列(配列番号:20)およびアミノ酸配列(配列番号:16)を示す。CDR1(配列番号:8)、CDR2(配列番号:10)およびCDR3(配列番号:12)領域に線を引いてある。
図3Aおよび3Bは、各々、LNCaPおよび786-O細胞における特定の抗体-パートナー分子複合体のin vitroでの腫瘍-活性化活性のEC50値を示す。
図4A-4Dは、in vivoでのLNCaP/前立腺ストローマ細胞異種移植マウスモデルの結果を示しており、平均腫瘍容積の変化データを提示している。
図5A-5Dは、in vivoでのLNCaP/前立腺ストローマ細胞異種移植マウスモデルの結果を示しており、平均体重の変化データを提示している。
図6A-6Dは、in vivoでのLNCaP異種移植マウスモデルの結果を示しており、平均腫瘍容積の変化データを提示している。
図7A-7Dは、in vivoでのLNCaP異種移植マウスモデルの結果を示しており、平均体重の変化データを提示している。]
[0020] 本発明は、RG-1に対して特異的にかつ高親和性で結合し、有効性を発揮するのに複合体(conjugate)の内在化を必要としないパートナー分子に結合している抗体、抗体フラグメント、および抗体模倣体に関する。]
[0021] 非内在化(non-internalized)抗原(例えばRG-1)は腫瘍部位で保持されており、抗体の結合後早急に内在化されない。結合効率は、内在化の誘発、輸送に続いて活性な細胞毒素性ペイロードを放出する、細胞表面の抗体-抗原相互作用に依存することが報告されている(Sutherland et al., J. Biol. Chem. 281, 10540-10547 (2006))。しかしながら、本発明において出願人らは、たとえ標的とされる抗原が内在化されていなかったり、または腫瘍細胞それ自体の上には存在し得ないが、その代わりに周囲の細胞外マトリクス、ストローマ細胞、腫瘍血管細胞、もしくは侵入炎症細胞(例えば、腫瘍関連マクロファージ)上には存在し得ても、腫瘍部位での抗体薬物複合体の保持が腫瘍に対する細胞毒素性効果をもたらすのに十分であることを証明する。あるいは、抗原が、腫瘍細胞から脱落しているが、腫瘍細胞、細胞外マトリクス、ストローマ細胞、侵入炎症細胞または腫瘍血管細胞とのその結合により腫瘍部位に保有されている場合、保持が起こり得る。]
[0022] 非内在化抗原(例えばRG-1)は腫瘍部位に保持され、抗体の結合後に内在化されない。腫瘍部位でのかかる抗原の保持は、腫瘍細胞、周囲のストローマ細胞、または腫瘍血管細胞の外部原形質膜への標的抗原の結合により媒介され得る。あるいは、該抗原が、腫瘍細胞から脱落しているが、細胞外マトリクスまたは腫瘍細胞、ストローマ細胞もしくは腫瘍血管細胞との結合により腫瘍部位では保持されている場合、保持が生じ得る。]
[0023] 抗体-パートナー分子複合体の場合、それは抗原結合により疾患部位で保持され、パートナー分子の腫瘍バイアス放出を可能にする。パートナー分子の放出後(例えば、後述の通りのリンカー基の切断により)、それは、隣接細胞の中へ自由に通過し、活性化し、その効果を発揮することができる。pH感受性リンカー(例えばヒドラゾン)の場合、リンカー基の切断は、腫瘍の低い細胞外pH(pHe)(一般に6.8付近であるか、または正常の組織よりも約0.5単位低い)を利用することができる。あるいは、該リンカーは、腫瘍の細胞外マトリクス中または腫瘍中の細胞の表面上のプロテアーゼ、例えばCD10、カテプシン、マトリックスメタロプロテアーゼ、およびセリンプロテアーゼにより切断され得る。]
[0024] 本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語をまず定義する。さらなる定義は詳細な説明を通して記載する。]
[0025] 用語「RG-1」には、ヒトRG-1の変異体、アイソフォーム、および相同種(species homolog)が含まれる。従って、ある特定の場合、本発明のヒト抗体はヒト以外の種からのRG-1と交差反応し得る。ある特定の実施態様において、該抗体、抗体フラグメント、または抗体模倣体は、1つ以上のヒトRG-1に対して完全に特異的であり得て、非ヒト交差反応性の種または他のタイプを示し得ない。]
[0026] 用語「免疫応答」とは、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌細胞、または、自己免疫もしくは病的炎症の場合における正常なヒト細胞もしくは組織に対する選択的損傷、それらの破壊、またはそれらの人体からの排除をもたらす、例えば、上記の細胞または肝臓により産生されるリンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、および可溶性高分子(抗体、サイトカイン、および補体が含まれる)の作用を言う。]
[0027] 「シグナル伝達経路」とは、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達を担う、様々なシグナル伝達分子間の生化学的関係を言う。該語句「細胞表面受容体」には、シグナルの受け取りおよび細胞の原形質膜を通過するようなシグナルの伝達が可能な分子および分子の複合体が含まれ、RG-1受容体が1つの例である。]
[0028] 用語「抗体」とは、全抗体およびいずれの抗原結合フラグメント(「抗原結合部分」)またはその単鎖を言う。「全長抗体」とは、ジスルフィド結合により相互に結合した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含有するタンパク質を言う。各重鎖は、重鎖可変領域(VHと略記)および重鎖定常領域を含有する。該重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含有する。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VLと略記)および軽鎖定常領域を含有する。該軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含有する。該VHおよびVL領域は、超可変領域(相補性決定領域(CDR)と称される)にさらに細分され、より高度に保存される領域(フレームワーク領域(FR)と称される)が組み入れられ得る。各VHおよびVLは3つのCDRおよび4つのFRから成り、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配列されている: FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、宿主組織または因子(免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(Clq)が含まれる)への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。]
[0029] 「抗体フラグメント」および抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えばRG-1)に特異的に結合する能力を保持している抗体の1つ以上のフラグメントを言い、全長抗体のフラグメントによって抗原結合機能が果たされ得ることが示されている。そのような結合フラグメントの例としては、(i) VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価のフラグメントであるFabフラグメント; (ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結した2つのFabフラグメントを含有する2価のフラグメントであるF(ab')2フラグメント; (iii) 本質的にヒンジ領域を有するFabであるFab'フラグメント(FUNDAMENTALIMMUNOLOGY (Paul ed., 3rd ed. 1993)を参照); (iv) VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント; (v) 抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント; (vi) VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546); (vii) 単離された相補性決定領域(CDR); および(viii) 1つの可変ドメインと2つの定常ドメインを含むVHであるナノボディ(nanobody)が挙げられる。Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVH、は別個の遺伝子によりコードされるけれども、組換え方法を用いて、合成リンカーによりそれらを結合して単一のタンパク質鎖とすることができ、その中でVLおよびVH領域は対をなして1価の分子を形成する(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; および、Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照)。そのような単鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含されると意図される。]
[0030] 「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を言う(例えば、特異的にRG-1を結合する単離された抗体は、RG-1以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、RG-1を特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原(例えば他の種由来のRG-1分子)に対する交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。]
[0031] 用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、単一の分子組成の抗体分子の調製物(preparation)を言う。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。]
[0032] 用語「ヒト抗体」には、フレームワークおよびCDR領域の両方ともがヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する抗体が含まれる。さらに、該抗体が定常領域を含む場合、該定常領域もまたヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によってか、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、本明細書で用いられる該用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植(graft)されている抗体を意図しない。]
[0033] 用語「ヒトモノクローナル抗体」とは、フレームワークおよびCDR領域の両方ともがヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する、単一の結合特異性を提示する抗体を言う。一実施態様において、該ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含有するゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)から得たB細胞を含む、ハイブリドーマにより産生される。]
[0034] 用語「組換えヒト抗体」には、組換え手法により作製、発現、創出もしくは単離された全てのヒト抗体、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックもしくは導入染色体(transchromosomal)である動物(例えばマウス)、またはそれから作製されたハイブリドーマから単離された抗体(以下にさらに記載)、(b) ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞(例えばトランスフェクトーマ(transfectoma))から単離された抗体、(c) 組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、および(d) いずれか他の手法(他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む)により作製、発現、創出もしくは単離された抗体が含まれる。そのような組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する。しかしながら、ある特定の実施態様において、そのような組換えヒト抗体は、in vitro変異誘発(または、ヒトIg配列のトランスジェニック動物が用いられる場合、in vivo体細胞変異誘発)処理することができ、それ故、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列由来であってそれに関連する一方、in vivoにおいてヒト抗体の生殖系列レパートリー内に天然に存在していなくてもよい配列である。]
[0035] 本明細書で用いる「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgGl)を言う。]
[0036] 「抗原を認識する抗体」および「抗原に対して特異的な抗体」という語句は、本明細書において「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と同義的に用いられる。]
[0037] 用語「ヒト化抗体」とは、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を言う。さらなるフレームワーク領域修飾がヒトフレームワーク配列内でなされ得る。]
[0038] 用語「キメラ抗体」とは、可変領域配列はある1種に由来し、定常領域配列は別の種に由来している抗体(例えば、可変領域配列はマウス抗体に由来し、定常領域配列はヒト抗体に由来している抗体)を言う。]
[0039] 用語「抗体模倣体」とは、抗体(しかし天然の抗体構造に限定されない)の持つ抗原を結合する能力を模倣することが可能な分子を言う。そのような抗体模倣体の例としては、限定はされないが、アフィボディ(Affibody)、DARPin、アンチカリン(Anticalin)、アビマー(Avimer)、およびベルサボディ(Versabody)が挙げられる。]
[0040] 用語「パートナー分子」とは、抗体-パートナー分子複合体中の抗体に結合しているものを言う。パートナー分子の例としては、薬物、細胞毒素、マーカー分子(限定はされないが、ペプチドおよび小分子マーカー(例えば蛍光色素マーカー)、ならびに単一原子マーカー(例えば放射性同位元素)が含まれる)、タンパク質および治療薬が挙げられる。]
[0041] 本明細書で用いる、「ヒトRG-1に特異的に結合する」抗体とは、1 x 10-7 M以下、より好ましくは5 x 10-8 M以下、より好ましくは3 x 10-8 M以下、より好ましくは1 x 10-8 M以下、さらにより好ましくは5 x 10-9 M以下のKDでヒトRG-1に結合する抗体を言う。]
[0042] タンパク質または細胞に「実質的に結合しない」という用語は、抗体が、高親和性でタンパク質または細胞に結合しない、すなわち、1 x 10-6 M以上、より好ましくは1 x 10-5 M以上、より好ましくは1 x 10-4 M以上、より好ましくは1 x 10-3 M以上、さらにより好ましくは1 x 10-2 M以上のKDでタンパク質または細胞に結合しないことを意味する。]
[0043] 本明細書で用いる用語「Kassoc」または「Ka」は、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度を示すように意図され、一方、本明細書で用いる用語「Kdis」または「Kd」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を示すように意図されている。本明細書で用いる用語「KD」は、解離定数を示すように意図され、それはKaに対するKdの比(すなわちKd/Ka)から得られ、モル濃度(M)で表される。抗体についてのKD値は、当分野で十分に確立された方法を用いて決定することができる。抗体のKDを決定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴、好ましくはバイオセンサーシステム(例えばBiacore(登録商標)システム)を用いることによるものである。]
[0044] IgG抗体についての「高親和性」という用語は、標的抗原に対して、1 x 10-7 M以下、より好ましくは5 x 10-8 M以下、より好ましくは1x10-8 M以下、より好ましくは5 x 10-9 M以下、およびさらにより好ましくは1 x 10-9 M以下のKDを有する抗体を示す。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプに応じて変化し得る。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、10-6 M以下、より好ましくは10-7 M以下、さらにより好ましくは10-8 M以下のKDを有する抗体を示す。]
[0045] 本明細書で用いる用語「対象」には、いずれのヒトまたは非ヒト動物が含まれる。該用語「非ヒト動物」には、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、は虫類などが含まれる。]
[0046] 単独または別の置換基の一部としての用語「アルキル」は、他に明記しない限り、直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、それは完全飽和、モノ不飽和もしくは多不飽和であってよく、示された数の炭素原子(例えば、C1-C10は1から10個の炭素を意味する)を有する二価および多価ラジカルを含むことができる。飽和炭化水素ラジカルの例としては、限定はされないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなど、ならびにそれらの同族体および異性体が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定はされないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより高級な同族体および異性体が挙げられる。該用語「アルキル」にはまた、他に断りのない限り、以下(例えば「ヘテロアルキル」)により詳細に記載のアルキルの誘導体も含む。炭化水素基に限定されているアルキル基は、「ホモアルキル」と称する。]
[0047] 単独または別の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、アルカン由来の二価ラジカルを意味し、限定はされないが、-CH2CH2CH2CH2-により例示され、以下の「ヘテロアルキレン」に記載の基をさらに含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1から24個の炭素原子を有し得て、本発明においては10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。]
[0048] 単独または別の用語と組み合わされた用語「ヘテロアルキル」は、他に明記しない限り、安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、あるいはそれらの組み合わせを意味し、規定数の炭素原子ならびにO、N、Si、およびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子から成り、ここで、該窒素、炭素および硫黄原子は適宜酸化されていてもよく、該窒素ヘテロ原子は適宜四級化されていてもよい。該ヘテロ原子O、N、S、およびSiは、ヘテロアルキル基のいずれの内部位置、またはアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に配置され得る。例としては、限定はされないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(=O)-CH3、-CH2-CH2-S(=O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、および-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられる。例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH3)3のように、最大2個のヘテロ原子が連続し得る。同様に、単独または別の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキル由来の二価ラジカルを意味し、限定はされないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-として例示される。ヘテロアルキレン基において、ヘテロ原子は鎖末端の一方または両方を占有し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。該用語「ヘテロアルキル」および「ヘテロアルキレン」は、ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体を包含する(例えば、Shearwater Polymers Catalog, 2001を参照)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基において、記載された連結基の式の方向は連結基の配向を意味していない。例えば、式-CO2R'-は-CO2R'-および-R'CO2-の両方を表す。]
[0049] 用語「アルキル」、「アルキレン」、「ヘテロアルキル」等と組み合わせた用語「低級」とは、1から6個の炭素原子を有する部分を言う。]
[0050] 用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アルキルスルホニル」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、それらの通常の意味で用いられ、各々、酸素原子、アミノ基、SO2基または硫黄原子を介して分子の残りに結合したアルキル基を言う。用語「アリールスルホニル」とはSO2基を介して分子の残りに結合したアリール基を言い、用語「スルフヒドリル」とはSH基を言う。]
[0051] 用語「アシル置換基」とは、本発明の化合物の多環式の核に直接的または間接的に結合したカルボニル炭素に結合し、その原子価を満たしている基を言う。「アシル置換基」の置換基部分は上記の基から選択することができる。]
[0052] 用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて、他に明記しない限り、各々、置換もしくは無置換「アルキル」および置換もしくは無置換「ヘテロアルキル」の環状体を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りに結合している位置を占有することができる。シクロアルキルの例としては、限定はされないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定はされないが、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。環状構造のヘテロ原子および炭素原子は適宜酸化されている。]
[0053] 単独または別の置換基の一部としての用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」といった用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含む。従って、「ハロ(C1-C4)アルキル」として、限定はされないが、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどが挙げられる。]
[0054] 用語「アリール」は、他に明記しない限り、置換または無置換の多不飽和の芳香族の炭化水素置換基を意味し、それは単環または多環(好ましくは1から3環)であることができ、共に縮合しているかまたは共有結合している。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、またはSから選択される1から4個のヘテロ原子を有するアリール基(または環)を言い、ここで該窒素、炭素および硫黄原子は適宜酸化されており、該窒素原子は適宜四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りに結合することができる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的な例として、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系の各々に対する置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。「アリール」および「ヘテロアリール」はまた、1つ以上の非芳香族環系がアリールもしくはヘテロアリール系に縮合しているかまたは結合している環系を包含する。]
[0055] 簡潔にするため、他の用語と組み合わせて用いる場合(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、用語「アリール」は、上記のアリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」は、アリール基が、炭素原子(例えばメチレン基)が、例えば酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)により置換されているアルキル基を含むアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合しているラジカルを含むことを意図している。]
[0056] 上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)の各々には、示したラジカルの置換および無置換形態の両方が含まれる。各タイプのラジカルに対して好ましい置換基を以下に提示する。]
[0057] アルキル、およびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルとしばしば称される基が含まれる)に対する置換基は、概して、各々、「アルキル置換基」および「ヘテロアルキル置換基」と称され、それらは、限定はされないが、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(=O)R'、-C(=O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(=O)NR'R''、-NR''C(=O)R'、-NR'-C(=O)NR''R'''、-NR''CO2R'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(=O)R'、-S(=O)2R'、-S(=O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNまたは-NO2から、0から(2m'+1)(ここで、m'はかかるラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲の数で選択される、1つ以上の様々な基であり得る。R'、R''、R'''およびR''''は、各々好ましくは独立して、水素、置換もしくは無置換ヘテロアルキル、置換もしくは無置換アリール、例えば、1-3個のハロゲンで置換されたアリール、置換もしくは無置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を示す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基の各々は、各R'、R''、R'''およびR''''基として、これらの基のうちの2つ以上が存在する場合に独立して選択される。R'およびR''が同一の窒素原子に結合している場合、それらは該窒素原子と合わさって、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR'R''は、限定はされないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意図している。置換基についての上記考察から、当業者であれば、用語「アルキル」が、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基(例えば、ハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)およびアシル(例えば、-C(=O)CH3、-C(=O)CF3、-C(=O)CH2OCH3など))を含むことを意図していることを理解するであろう。]
[0058] アルキルラジカルについて記載された置換基と同様に、アリール置換基およびヘテロアリール置換基は、一般的に、各々、「アリール置換基」および「ヘテロアリール置換基」と称され、多様であり、例えば、ハロゲン、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(=O)R'、-C(=O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(=O)NR'R''、-NR''C(=O)R'、-NR'-C(=O)NR''R'''、-NR''CO2R'、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(=O)R'、-S(=O)2R'、-S(=O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNもしくは-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、またはフルオロ(C1-C4)アルキルから、0から芳香族環系の開放原子価(open valence)の総数の範囲の数で選択され;ここで、R'、R''、R'''およびR''''は、好ましくは独立して、水素、(C1-C8)アルキルおよびヘテロアルキル、無置換アリールおよびヘテロアリール、(無置換アリール)-(C1-C4)アルキル、あるいは(無置換アリール)オキシ-(C1-C4)アルキルから選択される。本発明の化合物が2つ以上のR、R'、R''、R'''、またはR''''基を含む場合、かかる各基は、他と独立して、変え得る。]
[0059] アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基は、適宜、式-T-C(=O)-(CRR')q-U-の置換基で置換されていてもよく、ここで、TおよびUは独立して、-NR-、-O-、-CRR'-または単結合であり、qは0から3の整数である。あるいは、かかる置換基のうちの2つは、適宜、式-A-(CH2)r-B-の置換基で置換されていてもよく、ここで、AおよびBは独立して、-CRR'-、-O-、-NR-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-S(=O)2NR'-または単結合であり、rは1から4の整数である。このように形成された新しい環の単結合の1つは、適宜、二重結合で置換されていてもよい。あるいは、かかる置換基のうちの2つは、適宜、式-(CRR')s-X-(CR''R''')d-の置換基で置換されていてもよく、ここで、sおよびdは独立して、0から3の整数であり、Xは-O-、-NR'-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、または-S(=O)2NR'-である。該置換基R、R'、R''およびR'''は、好ましくは独立して、水素、または置換もしくは無置換(C1-C6)アルキルから選択される。]
[0060] 本明細書で用いる用語「ジホスフェート」には、限定はされないが、2つのリン酸基を有するリン酸のエステルが含まれる。用語「トリホスフェート」には、限定はされないが、3つのリン酸基を有するリン酸のエステルが含まれる。]
[0061] 本明細書で用いる用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含む。]
[0062] 記号「R」は、置換もしくは無置換アルキル、置換もしくは無置換ヘテロアルキル、置換もしくは無置換アリール、置換もしくは無置換ヘテロアリール、または置換もしくは無置換ヘテロシクリル基から選択される置換基を表す一般的な略語である。]
[0063] 本発明の様々な態様を、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載する。]
[0064] 抗-RG-1抗体
本発明の複合体中の抗体は、ヒトRG-1に特異的に結合することにより特徴づけられる。好ましくは、該抗体は、高親和性、例えば1 x 10-7 M以下のKDで、RG-1に結合する。該抗-RG-1抗体は、好ましくは、以下の特徴のうちの1つ以上を示す:
(a)1x10-7 M以下のKDでヒトRG-1に結合する;
(b)RG-1でトランスフェクトされたCHO細胞に結合する;および、
(c)in vivoにおいてRG-1-発現細胞の増殖を阻害する。]
[0065] 好ましい実施態様において、該抗体は、特性(a)、(b)、および(c)のうち少なくとも2つを示す。より好ましい実施態様において、該抗体は3つの全ての特性(a)、(b)、および(c)を示す。好ましくは、該抗体は、5 x 10-8 M以下のKD、2 x 10-8 M以下のKD、5 x 10-9 M以下のKD、4 x 10-9 M以下のKD、3 x 10-9 M以下のKD、または2 x 10-9 M以下のKDでヒトRG-1に結合する。]
[0066] 該抗体は、好ましくは、他のタンパク質中には存在しない、RG-1中の抗原エピトープに結合する。該抗体は、好ましくは、RG-1には結合するが他のタンパク質に結合しないか、あるいは、低い親和性で、例えば1 x 10-6 M以上、より好ましくは1 x 10-5 M以上、より好ましくは1 x 10-4 M以上、より好ましくは1 x 10-3 M以上、およびさらにより好ましくは1 x 10-2 M以上のKDで、他のタンパク質に結合する。]
[0067] RG-1に対する抗体の結合親和性を評価するための標準的なアッセイが当分野において公知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー分析が含まれる。結合はまた、標準的なアッセイ、例えばBiacore(登録商標)システム分析によっても評価することができる。RajiまたはDaudiB細胞腫瘍細胞への結合を評価するために、Raji(ATCC寄託No.CCL-86)またはDaudi(ATCC寄託No. CCL-213)細胞をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関から入手することができる。]
[0068] モノクローナル抗体19G9および34E1
本発明の複合体での使用に好ましい抗体は、ヒトモノクローナル抗体19G9および34E1であり、それらはUS2004/0152139およびUS7,335,748 B2に記載されており、それらは引用により本明細書に援用される。19G9および34E1のVHアミノ酸配列は、各々、配列番号: 13(図1A)および14(図2A) に示される。19G9および34E1のVLアミノ酸配列は、各々、配列番号: 15(図1B)および16(図2B)に示される。対応するコードヌクレオチド配列もまた、前述の図: 抗体19G9のVHに関しては配列番号:17(図1A)、抗体19G9のVLに関しては配列番号:19(図1B)、抗体34E1のVHに関しては配列番号:18(図2A)、および抗体34E1のVLに関しては配列番号:20(図2B)に示される。]
[0069] 別の態様において、該抗体は、19G9もしくは34E1の重鎖および軽鎖CDR1、CDR2ならびにCDR3、あるいはそれらの組み合わせを含有し得る。19G9および34E1のVH CDR1のアミノ酸配列は、各々、配列番号: 1-2に示される。19G9および34E1のVH CDR2のアミノ酸配列は、各々、配列番号: 3-4に示される。19G9および34E1のVH CDR3のアミノ酸配列は、各々、配列番号: 5-6に示される。19G9および34E1のVL CDR1のアミノ酸配列は、各々、配列番号: 7-8に示される。19G9および34E1のVL CDR2のアミノ酸配列は、配列番号: 9-10に示される。19G9および34E1のVL CDR3のアミノ酸配列は、各々、配列番号: 11-12に示される。該CDR領域は、Kabatシステム(Kabat, E. A., et al. (1991). Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; hereinafter “Kabat ‘3242'')を用いて図示される。]
[0070] 抗原-結合特異性は主にCDR1、CDR2、およびCDR3領域により供されることから、他の抗-RG-1結合分子を作出するために、VH CDR1、CDR2、およびCDR3配列ならびにVL CDR1、CDR2、およびCDR3配列を「混合および適合(mix and match)」することができる(すなわち、各抗体はVH CDR1、CDR2、およびCDR3ならびにVL CDR1、CDR2、およびCDR3を含まなくてはならないけれども、異なる抗体由来のCDRを混合および適合することができる)。好ましくは、混合および適合することにおいて、特定のVH/VLペア由来のVH配列は構造的に類似したVH配列で置換される。同様に、特定のVH/VLペア由来のVL配列は好ましくは、構造的に類似したVL配列で置換される。そのような「混合および適合」した抗体のRG-1結合は、上記の結合アッセイを用いて試験することができる。好ましくは、VHCDR配列が混合および適合される場合、特定のVH配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は構造的に類似したCDR配列で置換される。同様に、VL CDR配列が混合および適合される場合、特定のVL配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、好ましくは構造的に類似したCDR配列で置換される。1つ以上のVHおよび/またはVLCDR領域配列をモノクローナル抗体19G9および34E1について本明細書に開示のCDR配列由来の構造的に類似した配列で置換することにより、新規VHおよびVL配列を作出することができることは当業者には容易に明らかであろう。]
[0071] 従って、別の態様において、本発明の複合体の抗体またはそれらの抗原結合部分は:
(a) 配列番号: 1または配列番号: 2を含有する、重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号: 3または配列番号: 4を含有する、重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号: 5または配列番号: 6を含有する、重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号: 7または配列番号: 8を含有する、軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号: 9または配列番号: 10を含有する、軽鎖可変領域CDR2;および、
(f) 配列番号: 11または配列番号: 12を含有する、軽鎖可変領域CDR3、
を含む。]
[0072] CDR3ドメインはCDR1および/またはCDR2ドメインから独立して単独で同族抗原に対する抗体の結合特異性を決定できること、ならびに、共通のCDR3配列に基づく同一の結合特異性を有する複数の抗体を予想通りに作製できることがよく知られている。例えば、Klimka et al., British J. of Cancer 83(2):252-260 (2000); Beiboer et al., J. Mol. Biol. 296:833-849 (2000); Rader et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:8910-8915 (1998); Barbas et al., J. Am. Chem. Soc. 116, 2161-2162 (1994); Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92:2529-2533 (1995); Ditzel et al., J. Immunol. 157:739-749 (1996); Berezov et al., BIAjournal 8:Scientific Review 8 (2001);Igarashi et al., J. Biochem (Tokyo) 117:452-7 (1995); Bourgeois et al., J. Virol 72:807-10 (1998); Levi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:4374-8 (1993); Polymenis and Stoller, J. Immunol. 152:5218-5329 (1994)、およびXu and Davis, Immunity 13:37-45 (2000)を参照。また、US6,951,646; 6,914,128; 6,090,382; 6,818,216; 6,156,313; 6,827,925; 5,833,943; 5,762,905および5,760,185も参照。これらの文献の各々は、その全般が引用により本明細書に援用される。]
[0073] 従って本発明は、ヒトまたは非ヒト動物由来の抗体からの1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3を含有するモノクローナル抗体を提供し、ここで、該モノクローナル抗体はヒトRG-1に特異的に結合することができる。特定の態様において、本発明の複合体は、非ヒト抗体(例えばマウスまたはラット抗体)からの1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含有するモノクローナル抗体を用いることができ、ここで、該モノクローナル抗体はRG-1に特異的に結合することができる。あるいは、(a)対応する親非ヒト抗体に結合することができ; (b)対応する親非ヒト抗体の機能特性を保持し; (c)対応する親非ヒト抗体と同一のエピトープに結合し; および/または(d)対応する親非ヒト抗体と同様の結合親和性を有する、非ヒト抗体からの1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含有することができる。]
[0074] 特定の生殖系列配列を有する抗体
ある特定の実施態様において、本発明の複合体の抗体部分は、特定の生殖系列重鎖免疫グロブリン遺伝子由来のVHおよび/または特定の生殖系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来のVLを含有する。]
[0075] 本明細書において、該抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子を用いる系から得られる場合、ヒト抗体は、特定の生殖系列配列「の産生物」または「由来」である、重鎖または軽鎖可変領域を含有する。そのような系には、目的の抗原を用いてヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを免疫化すること、あるいはファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリを目的の抗原を用いてスクリーニングすることが含まれる。そのようなヒト抗体は、そのアミノ酸配列をヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、ヒト抗体の配列に最も近い(すなわち、最大の%同一性)ヒト生殖系列免疫グロブリン配列を選択することにより同定できる。特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列「の産生物」または「由来」であるヒト抗体は、例えば、天然の体細胞変異または部位特異的突然変異の意図的導入に起因する、生殖系列配列とのアミノ酸配列の差違を有し得る。しかしながら、選択されたヒト抗体は典型的にはヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性であり、他の種の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖系列配列)と比べた場合にヒトであるとしてヒト抗体を同定するアミノ酸残基を有する。特定の場合において、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、またはさらには少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖系列配列由来のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列とは10アミノ酸以下の差違を示すであろう。特定の場合において、該ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列とは、5以下、またはさらには4、3、2、もしくは1アミノ酸以下の差違を示し得る。]
[0076] 相同抗体
さらに別の実施態様において、本発明の複合体の抗体部分の抗体は、本明細書に記載の好ましい抗体のアミノ酸配列に相同であるアミノ酸配列を含有する重鎖および軽鎖可変領域を有し、ここで、該抗体は本発明の抗-RG-1抗体の目的の機能特性を保持する。]
[0077] 例えば、本発明は、VHおよびVLを含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで:
(a)該VHは、配列番号:13-14からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含有し;
(b)該VLは、配列番号:15-16からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含有し;および、
(c)該抗体は、ヒトRG-1に特異的に結合する。]
[0078] 他の実施態様において、該VHおよび/またはVLアミノ酸配列は、上記の配列に対して、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同であり得る。上記の配列のVHおよびVL領域に対して高い(すなわち、80%以上)相同性を有するVHおよびVL領域を有する抗体は、配列番号:17-18もしくは19-20をコードする核酸分子の変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR媒介変異誘発)の後、保持機能(すなわち、上記の機能)について、コードされた変異抗体を本明細書に記載の機能アッセイを用いて試験することによって、得ることができる。]
[0079] 2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性に相当し、それは、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一ポジションの数の関数(すなわち、%相同性 = 同一ポジションの数/ポジションの総数× 100)であり、2つの配列の最適アラインメントにおいて導入される必要がある。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、以下の非限定的実施例に記載のとおり、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。]
[0080] 2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に導入されているE. MeyersおよびW. Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))により、PAM120重み残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを用いて、決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)に導入されているNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))アルゴリズムにより、Blosum62マトリックスもしくはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに、16、14、12、10、8、6もしくは4のギャップ荷重(gap weight)および1、2、3、4、5もしくは6の長さ荷重(length weight)を用いて、決定することができる。]
[0081] さらにまたは別法として、例えば関連配列を同定するために、本発明のタンパク質配列を「クエリー配列」としてさらに用いて、公開データベースに対して検索を実施することができる。そのような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実施することができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア= 50、ワード長= 3を用いて実施し、本発明の抗体分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップアラインメント(gapped alignment)を得るため、Altschul et al., (1997) Nucleic AcidsRes. 25(17):3389-3402に記載のとおりGapped BLASTを用いることができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照。]
[0082] 保存的修飾を有する抗体
本発明の複合体中に用いられる抗体はCDR1、CDR2およびCDR3配列を含有するVH、ならびに、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含有するVLを有することができ、これらのCDR配列のうちの1つ以上は公知の抗-RG-1抗体に基づく特定のアミノ酸配列またはその保存的修飾を含み、該抗体は本発明の抗-RG-1抗体の目的の機能特性を保持する。特定の保存的配列修飾を行うことができ、それは抗原結合を除去しないことが当分野において分かっている。例えば、Brummell et al. (1993) Biochem 32:1180-8; de Wildt et al. (1997) Prot. Eng. 10:835-41; Komissarov et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:26864-26870; Hall et al. (1992) J. Immunol. 149:1605-12; Kelley and O'Connell (1993) Biochem. 32:6862-35; Adib-Conquy et al. (1998) Int. Immunol. 10:341-6およびBeers et al. (2000) Clin. Can. Res. 6:2835-43を参照。従って、本発明の複合体は、ヒトRG-1に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合部分を有することができ、ここで:
(a)該VH CDR3配列は配列番号:5-6のアミノ酸配列有し;および、
(b)該VL CDR3配列は配列番号:11-12のアミノ酸配列を有し;
VH CDR3およびVL CDR3のうちの少なくとも1つは1つ以上のその保存的修飾を有する。]
[0083] さらにまたは別法として、該抗体は、上記した以下の機能特性、例えばヒトRG-1に対する高親和性結合、RG-1でトランスフェクトしたCHO細胞への結合能力、および/または細胞毒素に結合された場合のin vivoにおけるRG-1-発現腫瘍細胞の腫瘍増殖阻害能力、のうちの1つ以上を保有し得る。]
[0084] 好ましい実施態様において、該VHCDR2配列は配列番号: 3-4から選択されるアミノ酸配列を有し; 該VL CDR2配列は配列番号: 9-10から選択されるアミノ酸配列を有し; 該VH CDR1配列は配列番号: 1-2から選択されるアミノ酸配列を有し; および/または該VL CDR1配列は配列番号: 7-8から選択されるアミノ酸配列を有し、ここで前記のVH CDR2、VL CDR2、VH CDR1、およびVL CDR1のうちの1つ以上は保存的修飾を有することができる。]
[0085] 従って、別の態様において、本発明の複合体の抗体またはその抗原結合部分は:
(a) 配列番号: 1もしくは配列番号: 2、またはいずれかの保存的修飾を含有する重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号: 3もしくは配列番号: 4、またはいずれかの保存的修飾を含有する重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号: 5もしくは配列番号: 6、またはいずれかの保存的修飾を含有する重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号: 7もしくは配列番号: 8、またはいずれかの保存的修飾を含有する軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号: 9もしくは配列番号: 10、またはいずれかの保存的修飾を含有する軽鎖可変領域CDR2;および、
(f) 配列番号: 11もしくは配列番号: 12、またはいずれかの保存的修飾を含有する軽鎖可変領域CDR3、
を含む。]
[0086] 該用語「保存的配列修飾」とは、アミノ酸配列を有する抗体の結合特性に顕著に影響しないかまたは変化させないアミノ酸修飾を言い、これには、アミノ酸置換、付加、および欠失が含まれる。修飾を、標準的な技法(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって、本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当分野で明らかになっている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β-分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。従って、本発明の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同一の側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換することができ、保持機能(すなわち、上記(a)から(c)に記載の機能)について、本明細書に記載の機能アッセイを用いて、該変異抗体を試験することができる。好ましくは、該保存的修飾は1または2以下の数である。]
[0087] 抗-RG-1抗体と同一のエピトープに結合する抗体
別の実施態様において、本発明の複合体中の抗体は、本発明の抗-RG-1モノクローナル抗体(すなわち、ヒトRG-1への結合において本発明のモノクローナル抗体のいずれかと交差競合する能力を有する抗体)のいずれかにより認識されるRG-1上のエピトープに結合する。好ましい実施態様において、交差競合試験の基準抗体は抗体19G9または抗体34E1である。]
[0088] 交差競合抗体は、標準的なRG-1結合アッセイにおいて、19G9または34E1と交差競合するその能力に基づいて同定され得る。例えば、ELISAアッセイを用いることができ、その場合、組換えヒトRG-1タンパク質をプレートに固定化し、抗体の1つを蛍光標識して、標識抗体に対して競合する未標識抗体の能力を評価する。さらにまたは別法として、BIAcore分析を用いて抗体が交差競合する能力を評価することができる。好ましい実施態様において、19G9または34E1により認識されるヒトRG-1上の同一のエピトープに結合する抗体はヒトモノクローナル抗体である。そのようなヒトモノクローナル抗体は、本明細書に記載の方法および当分野で公知の方法を用いて調製および単離することができる。]
[0089] 改変(Engineered)および修飾抗体
また、出発物質として1つ以上の公知のVHおよび/またはVL配列を有する抗体から、本発明の複合体中の抗体を調製して、出発抗体に比べて特性を変えた修飾抗体を改変することもできる。抗体は、一方または両方の可変領域内、例えば1つ以上のCDR領域内および/または1つ以上のフレームワーク領域内の1つ以上のアミノ酸を修飾することにより、改変することができる。さらにまたは別法として、抗体を定常領域内の残基を修飾することにより改変して、例えばエフェクター機能を変化させることができる。]
[0090] ある特定の実施態様において、CDR移植により抗体の可変領域を改変することができる。抗体は、6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)中に位置するアミノ酸残基全体を通して、優勢に標的抗原と相互作用する。このことから、CDR内のアミノ酸配列は、CDR外の配列間よりも個々の抗体間の方が多様である。CDR配列はほとんどの抗体-抗原相互作用に関与しているので、異なる特性を有する異なる抗体からのフレームワーク配列に移植された特定の天然の抗体由来のCDR配列を有する発現ベクターを構築することによって、特定の天然の抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることができる(例えば、Riechmann, L. et al. (1998) Nature 332:323-327; Jones, P. et al. (1986) Nature 321:522-525; Queen, C. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. See. U.S.A. 86:10029-10033; WinterのUS5,225,539、ならびにQueen et alのUS5,530,101; 5,585,089; 5,693,762および6,180,370を参照)。]
[0091] そのようなフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公的DNAデータベースまたは公開文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖およびVL遺伝子の生殖系列DNA配列は、「VBase」ヒト生殖系列配列データベース(インターネット上のwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで利用可能)、ならびにKabat‘3242; Tomlinson, I. M., et al. (1992) “The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops” J. Mol. Biol. 227:776-798; および、Cox, J. P. L. et al. (1994) “A Directory of Human Germ-line VH Segments Reveals a Strong Bias in their Usage” Eur. J. Immunol. 24:827-836;(その各々の内容は引用により本明細書に明確に援用される)に見いだすことができる。また、ヒト重鎖およびVL遺伝子の生殖系列DNA配列はGenbankデータベースに見いだすことができる。例えば、HCo7 HuMAbマウスで見いだされる以下の重鎖生殖系列配列は、付随のGenbank受入番号: 1-69 (NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、3-33 (NG_0010109およびNT_024637)ならびに3-7 (NG_0010109およびNT_024637)で入手可能である。別の例として、HCo12 HuMAbマウスで見いだされる以下の重鎖生殖系列配列は、付随のGenbank受入番号: 1-69 (NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、5-51 (NG_0010109およびNT_024637)、4-34 (NG_0010109およびNT_024637)、3-30.3 (CAJ556644)ならびに(AJ406678)で入手可能である。]
[0092] 抗体タンパク質配列を、GappedBLASTと呼ばれる配列類似性検索方法(Altschul et al. (1997) Nucleic AcidsResearch 25:3389-3402)を用いて、タンパク質配列データベースと比較する。抗体配列とデータベース配列との間での統計的に有意なアラインメントはアラインメントされたワードの高スコアセグメント対(high-scoring segment pair)(HSP)を有する傾向が強い点で、BLASTはヒューリスティックアルゴリズムである。伸長またはトリミングによりスコアを改善することができないセグメント対をヒット(hit)と呼ぶ。簡単に言うと、VBASE由来のヌクレオチド配列(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbase1/list2.php)が翻訳され、FR1からFR3フレームワーク領域間の領域および同領域を含む領域が保持される。該データベース配列は、平均98残基長を有する。タンパク質の全長にわたって厳密に一致する重複配列が除去される。デフォルトでのblastpプログラム、低複雑性フィルタ(オフにしている)以外の標準パラメータ、およびBLOSUM62の置換マトリックスを用いたタンパク質についてのBLAST検索によって、配列の一致をもたらす上位5つのヒットにフィルタがかけられる。該ヌクレオチド配列は全6つのフレーム内で翻訳され、データベース配列の一致するセグメント中に停止コドンを有しないフレームはヒットの可能性があると考えられる。同様に、BLASTプログラムtblastxを用いてこのことを確認する(全6つのフレーム内で抗体配列を翻訳し、それら翻訳を全6つのフレーム内で動的に翻訳されたVBASEヌクレオチド配列と比較する)。]
[0093] 同一性は、抗体配列と配列の全長にわたるタンパク質データベースとの間の正確なアミノ酸の一致である。ポジティブ(positive)(同一性+置換の一致)は、同一ではなく、BLOSUM62置換行列によって導かれるアミノ酸置換である。抗体配列がデータベース配列のうちの2つと同じ同一性で一致する場合、大部分のポジティブを伴うヒットが、一致する配列ヒットであると決定され得る。]
[0094] 本発明の抗体における使用に好ましいフレームワーク配列は、公知のRG-1抗体により用いられるフレームワーク配列に構造的に類似したものである。該VHCDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびに該VL CDR1、CDR2、およびCDR3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖系列免疫グロブリン遺伝子中に見いだされるのと同一の配列を有するフレームワーク領域上に移植され得るか、あるいは、該CDR配列は、生殖系列配列と比べて1つ以上の変異を含むフレームワーク領域上に移植され得る。例えば、特定の場合において、フレームワーク領域内の残基を変異させて抗体の抗原結合親和性を維持もしくは増強させることが有益であることが見いだされている(例えば、Queen et al.のUS5,530,101; 5,585,089; 5,693,762および6,180,370を参照)。]
[0095] 別のタイプの可変領域修飾は、VHおよび/またはVLの、CDR1、CDR2および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させて、1つ以上の結合特性を改善するものである。部位特異的変異誘発またはPCR媒介変異誘発を実施して変異を導入することができ、抗体結合における効果または他の目的の機能特性を、in vitroもしくはin vivoアッセイで評価することができる。保存的修飾が導入されるのが好ましい。該変異は、アミノ酸の置換、付加、または欠失であってよいが、好ましくは置換である。さらに、典型的には、CDR領域内の1、2、3、4または5以下の残基を変異させる。]
[0096] 従って、別の実施態様において、本発明の複合体中の抗体もしくはその抗原結合部分は: (a) 配列番号: 1-2から選択されるアミノ酸配列を含有するVHCDR1領域; (b) 配列番号: 3-4から選択されるアミノ酸配列を含有するVH CDR2領域; (c) 配列番号: 5-6から選択されるアミノ酸配列を含有するVH CDR3領域; (d) 配列番号: 7-8から選択されるアミノ酸配列を含有するVL CDR1領域; (e) 配列番号: 9-10から選択されるアミノ酸配列を含有するVL CDR2領域; および(f) 配列番号: 11-12から選択されるアミノ酸配列を含有するVL CDR3領域; を含み、ここで、前述のVH CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびにVL CDR1、CDR2、およびCDR3のうちの少なくとも1つは、上記の配列番号と比べて1、2、3、4もしくは5(好ましくは1もしくは2)のアミノ酸の置換、欠失または付加を有する。]
[0097] 改変(Engineered)抗体には、VHおよび/またはVL内のフレームワーク残基が、典型的には免疫原性を低下させるように、修飾されているものが含まれる。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「復帰変異(backmutate)」させることである。より具体的には、体細胞変異を経た抗体は、抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列と該抗体が由来する生殖系列配列とを比較することにより同定することができる。]
[0098] 別のタイプのフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内またはさらには1つ以上のCDR領域内での、1つ以上の残基の変異に関与して、T細胞エピトープを除去し、また免疫原性を低下させる。このアプローチはまた、「脱免疫化(deimmunization)」とも称され、Carr et alによるUS2003/0153043に記載されている。]
[0099] 抗体はまた、Fc領域内に修飾を含むように改変され、典型的には、例えば、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または抗原依存性の細胞毒素性といった特性が変化され得る。さらに、本発明の抗体を化学的に修飾してもよい(例えば、1つ以上の化学的部分が抗体に結合され得る)か、あるいはそのグリコシル化を変化させて、抗体の1つ以上の機能特性を再び変化させてもよい。これらの実施態様の各々を、以下にさらに詳細に記載する。Fc領域における残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのものである。]
[0100] 一実施態様においては、CH1のヒンジ領域が修飾されて、該ヒンジ領域中のシステイン残基の数が変化される(例えば、増加または減少される)。このアプローチはさらに、Bodmer et alによるUS5,677,425に記載されている。CH1のヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の構築を促進させるように、あるいは抗体の安定性を増大または低下させるように、変えられる。]
[0101] 別の実施態様において、抗体のFcヒンジ領域を変異させて、その生物学的半減期を低下させる。より具体的には、該抗体が天然のFc-ヒンジドメインSpA結合と比べて低下したブドウ球菌プロテイン(SpA)結合を有するように、1つ以上のアミノ酸変異がFc-ヒンジフラグメントのCH2-CH3ドメイン界面領域に導入される。このアプローチは、Ward et alによるUS6,165,745により詳細に記載されている。]
[0102] 別の実施態様において、該抗体は、その生物学的半減期を増大させるように修飾される。様々なアプローチが可能である。例えば、WardのUS6,277,375に記載のとおり、以下の変異のうちの1つ以上を導入することができる: T252L、T254S、T256F。別法として、生物学的半減期を増大させるために、Presta et al.によるUS5,869,046および6,121,022に記載のとおり、該抗体を、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループからのサルベージ(salvage)受容体結合エピトープを含むように、CH1またはCL領域内で変化させることができる。]
[0103] さらに他の実施態様において、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換することによってFc領域を変異させて、抗体のエフェクター機能を変化させる。例えば、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320、または322から選択される1つ以上のアミノ酸を、抗体がエフェクターリガンドに対して親和性が変化されているが親抗体の抗原-結合親和性を保持しているように、異なるアミノ酸残基で置換することができる。親和性が変化されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1成分であり得る。このアプローチは、Winter et al.によるUS5,624,821および5,648,260にさらに詳細に記載されている。]
[0104] 別の実施例において、アミノ酸残基329、331または322から選択される1つ以上のアミノ酸を、抗体が、変化したC1q結合および/または低下もしくは消滅した補体依存性細胞毒素性(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基で置換することができる。このアプローチは、Idusogie et al.によるUS6,194,551にさらに詳細に記載されている。]
[0105] 別の実施例において、アミノ酸位置231および239内の1つ以上のアミノ酸残基が変化されることによって、抗体の補体を結合する能力を変化させる。このアプローチは、Bodmer et al.によるWO 94/29351にさらに詳細に記載されている。]
[0106] さらに別の実施例において、Fc領域は、以下の位置で1つ以上のアミノ酸を修飾することによって、Fcγ受容体に対する抗体の親和性を増大させるように修飾される: 238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438または439。このアプローチは、PrestaによるWO 00/42072にさらに詳細に記載されている。さらに、FcγR1、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位がマッピングされており、結合が改善された変異体が記載されている(Shields, R.L. et al. (2001) J. Biol. Chem. 276:6591-6604を参照)。位置256、290、298、333、334および339での特異的変異がFcγRIIIに対する結合を改善することが示された。さらに、以下の組み合わせ変異体がFcγRIII結合を改善することが示された: T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224AおよびS298A/E333A/K334A。]
[0107] さらに別の実施態様において、本発明の抗体のC末端は、King et al.,国際出願PCT/US2008/073569に記載(引用によりその全般が本明細書に援用される)されているように、システイン残基の導入によって修飾される。そのような修飾としては、限定はされないが、全長重鎖配列のC末端もしくはその付近に存在するアミノ酸残基の置換、ならびに全長重鎖配列のC末端へのシステイン-含有伸長の導入、が挙げられる。好ましい実施態様において、システイン-含有伸長は、配列アラニン-アラニン-システイン(N末端からC末端)を含む。
そのようなC末端システイン修飾により、パートナー分子の結合のための官能基(例えばジスルフィドリンカーまたはマレイミド基を介して)を得ることができる。このように抗体のパートナー分子へ結合することで、特異的な結合部位についての制御が高められ得る。さらに、C末端またはその付近に結合部位を導入することによって結合を最適化することができ、それにより、抗体-抗原結合の妨害を低減または除去し、分析および品質管理の簡易化を可能にする。]
[0108] さらに別の実施態様において、該抗体をアグリコシル化(aglycoslated)(すなわち、グリコシル化の欠如)されるように改変して、抗原への結合を増大させることができる。そのような修飾は、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を変化させることにより達成することができる。例えば、1つ以上のアミノ酸置換をして1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位を除去し、該部位でのグリコシル化を防ぐことができる。そのようなアプローチは、Co et al.のUS5,714,350および6,350,861にさらに詳細に記載されている。グリコシル化を変化させるさらなるアプローチがHanai et al.のUS7,214,775、PrestaのUS6,737,056、PrestaのUS2007/0020260、Dickey et al.のWO 2007/084926、Zhu et al.のWO 2006/089294、およびRavetch et al.のWO 2007/055916(その各々は引用によりその全般が本明細書に援用される)に記載されている。]
[0109] 改変(altered)タイプのグリコシル化を有する抗体、例えば、フコシル残基の量が低下した低フコシル化(hypofucosylated)抗体または分岐(bisecting)GlcNac構造が増加した抗体を作製することができる。そのような改変グリコシル化パターンはADCCを増大させることが示されている。そのような修飾は、改変グリコシル化機構を有する宿主細胞中で抗体を発現させることにより達成することができる。改変グリコシル化機構を有する細胞は当分野で記載されており、組換え抗体を発現することにより改変グリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として用いることができる。例えば、細胞株Ms704、Ms705、およびMs709は、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8(α (1,6)フコシルトランスフェラーゼ)が欠如しており、それにより、これらの細胞株で発現する抗体はその糖(carbohydrate)上にフコースを欠如している。そのような細胞株は、2つの置換ベクターを用いてCHO/DG44細胞中のFUT8遺伝子を標的破壊することにより創り出すことができた(Yamane et al.によるUS20040110704およびYamane-Ohnuki et al. (2004) Biotechnol Bioeng 87:614-22を参照)。別の実施例として、Hanai et al.によるEP 1,176,195は機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株を記載しており、それはフコシルトランスフェラーゼをコードし、それにより、そのような細胞株で発現する抗体は、α 1,6 結合-関連酵素の低減もしくは除去による低フコシル化を示す。Hanai et al.はまた、抗体のFc領域に結合するN-アセチルグルコサミンにフコースを付加するための酵素活性が低いか、あるいは酵素活性をもたない細胞株、例えばラットミエローマ細胞株YB2/0(ATCCCRL 1662)も記載している。PrestaによるWO 03/035835は、Asn(297)-連結糖(carbohydrate)にフコースを結合させる能力が低下したCHO細胞変異株、Lec13細胞(これもまた該宿主細胞において発現される抗体の低フコシル化をもたらす)を記載している(また、Shieldset al. (2002) J. Biol. Chem. 277:26733-26740を参照)。Umana et al.によるWO 99/54342は、細胞株中で発現する抗体が分岐GlcNac構造の増大を示すように糖タンパク質-修飾グリコシルを発現するように改変され、結果として抗体のADCC活性の増大をもたらす細胞株を記載している(Umana et al. (1999) Nat. Biotech. 17:176-180もまた参照)。別法としては、抗体のフコース残基がフコシダーゼ酵素を用いて切断され得る(例えばα-L-フコシダーゼはフコシル残基を抗体から除去する)(Tarentino et al. (1975) Biochem. 14:5516-23)。]
[0110] さらにまたは別法として、シアリル化のレベルが変化された抗体を作製することができる(例えば、Dickey et al.のWO 2007/084926、およびRavetch et al.のWO 2007/055916に記載されており、両者とも引用によりその全般が援用される)。例えば、アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafacens)シアリダーゼなどのシアリダーゼとの酵素反応を用いてもよい。そのような反応の条件は、概して、US5,831,077に記載されており、引用によりその全般が本明細書に援用される。適切な酵素の他の非限定的な例は、ノイラミニダーゼおよびN-グリコシダーゼFであり、各々、Schloemer et al . , J. Virology, 15(4), 882-893 (1975)およびLeibiger et al., Biochem J., 338, 529-538 (1999)に記載されている。脱シアリル化抗体を、アフィニティークロマトグラフィーを用いることによりさらに精製してもよい。別法として、例えばシアリルトランスフェラーゼ(sialytransferase)酵素を用いることにより、シアリル化(sialyation)のレベルを増大させる方法を用いてもよい。そのような反応の条件は、概して、Basset et al., Scandinavian Journal of Immunology, 51(3), 307−311 (2000)に記載されている。]
[0111] 本明細書で用いられる抗体の別の意図的な修飾は、ペグ化である。抗体をペグ化して、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増大させることができる。抗体をペグ化するために、典型的には、1つ以上のPEG基が抗体または抗体フラグメントに結合した状態になる条件下において、該抗体またはそのフラグメントをポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)と反応させる。好ましくは、該ペグ化は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施される。本明細書で用いる用語「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質を誘導体化するのに用いられるPEGの形態のいずれか、例えば、モノ(C1-C10)アルコキシ-もしくはアリールオキシポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドを包含する。ある特定の実施態様において、ペグ化される抗体はアグリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化する方法が当分野において公知である。例えば、Nishimura et al.によるEP 0154316、およびIshikawa et al.によるEP 0401384を参照。]
[0112] 抗体の物理的特性
本発明で用いられる抗体は、様々な物理的特性によりキャラクタライズされ得る。]
[0113] 該抗体は、VLまたはVHのいずれかにおいて1つ以上のグリコシル化部位を有し得て、それによって免疫原性の増大またはpKの変化がもたらされ得る(Marshall et al (1972) Annu Rev Biochem 41:673-702; Gala and Morrison (2004) J Immunol 172:5489-94; Wallick et al (1988) J Exp Med 168:1099-109; Spiro (2002) Glycobiology 12:43R-56R; Parekh et al (1985) Nature 316:452-7; Mimura et al. (2000) Mol Immunol 37:697-706)。グリコシル化はN-X-S/T配列を有するモチーフで生じることが知られている。可変領域のグリコシル化は、抗体を切断してFabを作製した後に過ヨウ素酸酸化およびシッフ塩基形成を測定するアッセイを用いてグリコシル化を試験する、グライコブロット(Glycoblot)アッセイを用いて試験され得る。別法として、可変領域のグリコシル化は、Fabから糖を切断して単糖にして個々の単糖含量を分析する、ダイオネクス液体クロマトグラフィー(Dionex light chromatography)(Dionex-LC)を用いて試験され得る。場合によっては、可変領域のグリコシル化を含まない抗-RG-1抗体を有することが好ましい。このことは、可変領域にグリコシル化モチーフを含まない抗体を選択することによってか、あるいは標準的な技法を用いてグリコシル化モチーフ内の塩基を変異させることによって、達成することができる。]
[0114] 好ましい実施態様において、本発明の抗体はアスパラギン異性部位を含まない。アスパラギンの脱アミドはN-GまたはD-G配列上で生じ得て、イソアスパラギン酸残基の産生をもたらし、ポリペプチド鎖に捻れを導入してその安定性を低下させる(イソアスパラギン酸効力)。イソアスパラギン酸の存在は、逆相HPLC試験(iso-quantアッセイ)を用いて測定することができる。]
[0115] 各抗体は、特有の等電点(pI)を有するであろう(一般的には6〜9.5のpH範囲に収まる)。IgG1抗体のpIは典型的には7〜9.5のpH範囲内に収まり、IgG4抗体のpIは典型的には6〜8のpH範囲内に収まる。正常範囲外のpIを有する抗体は、in vivo条件下においていくらかのアンフォールディングおよび不安定性を有し得ることが推測される。従って、正常範囲に収まるpI値を有する抗-メソテリン抗体を有することが好ましい。このことは、正常範囲のpIを有する抗体を選択することによってか、あるいは荷電した表面残基を変異させることによって達成することができる。]
[0116] 各抗体は特有の融解温度を有するであろう(より高い融解温度はin vivoにおいてより高い全体的安定性を示す)(Krishnamurthy R and Manning MC (2002) Curr Pharm Biotechnol 3:361-71)。一般的には、TM1(初期アンフォールディングの温度)は、60℃以上、好ましくは65℃以上、さらにより好ましくは70℃以上であることが好ましい。抗体の融点は示差走査熱量測定(Chen et al (2003) Pharm Res 20:1952-60; Ghirlando et al (1999) Immunol Lett 68:47-52)、または円偏光二色性(Murray et al. (2002) J. Chromatogr Sci 40:343-9)を用いて測定することができる。]
[0117] 好ましい実施態様において、急速に分解しない抗体が選択される。抗-RG-1抗体の断片化は、当分野で十分に理解されているような、キャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI-MSを用いて測定され得る(Alexander AJ and Hughes DE (1995) Anal Chem 67:3626-32)。]
[0118] 別の好ましい実施態様において、最小の凝集効果を有する抗体が選択され、それは望ましくない免疫応答および/または変化されたかもしくは好ましくない薬物動態学的特性の引き金を導き得る。一般的に、抗体は、25%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、およびさらにより好ましくは5%以下の凝集で許容される。凝集は、サイズ排除カラム(SEC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および光散乱を含む、いくつかの技法により測定できる。]
[0119] 抗体の改変方法
上記のとおり、公知のVHおよびVL配列を有する抗-RG-1抗体を用いて、VHおよび/またはVL配列、あるいはそれに結合する定常領域を修飾することにより、新しい抗-RG-1抗体を作り出すことができる。従って、本発明の別の態様において、公知の抗-RG-1抗体の構造的特徴を用いて、本発明の抗体の少なくとも1つの機能特性(例えば、ヒトRG-1への結合)を保持する、構造的に関連した抗-RG-1抗体が作り出される。例えば、上述のとおり、公知のRG-1抗体の1つ以上のCDR領域もしくはその変異体を、公知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組み替えで合わせて、さらなる、組み替えで改変した本発明の抗-RG-1抗体を作り出すことができる。他のタイプの修飾としては、前項に記載のものが挙げられる。改変方法のための出発物質は、本明細書に記載のVHおよび/またはVK配列の1つ以上、またはそれらのCDR領域の1つ以上である。改変抗体を作出するために、公知のRG-1抗体のVHおよび/またはVK配列の1つ以上、またはそれらのCDR領域の1つ以上を有する抗体を実際に調製する(すなわち、タンパク質として発現させる)必要はない。むしろ、配列に含まれる情報を出発物質として用いて、元の配列由来の「第二世代」配列を作り出し、次いで該「第二世代」配列をタンパク質として調製および発現させる。]
[0120] 変異は、ランダムもしくは選択的に、全てもしくは一部の抗-RG-1抗体コード配列を導入することができ、得られた修飾抗-RG-1抗体は、結合活性および/または本明細書に記載の他の機能特性についてスクリーニングされ得る。変異方法は当分野で記載されている。例えば、ShortによるWO 02/092780は、飽和変異誘発、合成ライゲーションアセンブリー(synthetic ligation assembly)、またはその組み合わせを用いた、抗体変異の作出およびスクリーニング方法を記載する。別法として、Lazar et al.によるWO 03/074679は、コンピューターによるスクリーニング方法を用いて抗体の生理化学的特性を最適化する方法を記載している。]
[0121] 抗体フラグメントおよび抗体模倣体
本発明の複合体は、RG-1結合成分としての従来の抗体に限定されず、抗体フラグメントおよび抗体模倣体の使用を通して実用可能である。様々な抗体フラグメントおよび抗体模倣技術が開発され、当分野で広く知られている。]
[0122] ドメイン抗体(dAb)は、抗体の最小の機能的結合ユニット(functional binding unit)-分子量約13 kDa-であり、抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応する。ドメイン抗体およびその製造方法についてのさらなる詳細は、US 6,291,158; 6,582,915; 6,593,081; 6,172,197; および6,696,245; US 2004/0110941; EP 1433846、0368684および0616640; WO 2005/035572、2004/101790、2004/081026、2004/058821、2004/003019および2003/002609に記載されており、その各々は引用によりその全般が本明細書に援用される。]
[0123] ナノボディは、天然の重鎖抗体の特有の構造特性および機能特性を有する抗体由来のタンパク質である。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を有する。重要なことには、クローニングされて単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能力を有する安定なポリペプチドである。ナノボディはヒト抗体のVHドメインと高い相同性を有し、活性のいずれの損失も伴うことなくさらにヒト化され得る。重要なことには、ナノボディは低い免疫原性を有する。]
[0124] ナノボディは、従来の抗体の利点と小分子薬物の重要な特徴とを組み合わせる。従来の抗体と同様に、ナノボディは、高い標的特異性および高い親和性ならびに低い固有の毒性を示す。さらに、ナノボディは極めて安定であり、注入以外の方法により投与することができ(例えば、WO 2004/041867を参照)、製造が容易である。ナノボディの他の利点としては、その小さいサイズに起因する稀であるかまたは隠れたエピトープの認識、それら特有の3-次元の薬物形態の柔軟性に起因するタンパク質標的の空洞または活性部位への高親和性および選択的な結合、半減期の調整、ならびに薬物発見の容易さおよび速度が挙げられる。]
[0125] ナノボディは単一の遺伝子によってコードされており、ほとんど全ての原核生物宿主および真核生物宿主、例えば、大腸菌(例えば、引用によりその全般が本明細書に援用されるUS 6,765,087を参照)、カビ(例えば、アスペルギルスまたはトリコデルマ)および酵母(例えば、サッカロマイセス、クリベロマイセス、ハンゼヌラまたはピキア)(例えば、引用によりその全般が本明細書に援用されるUS 6,838,254を参照)において効率的に産生される。]
[0126] ナノクローン(Nanoclone)法(例えば、引用によりその全般が本明細書に援用されるWO 06/079372を参照)により、B-細胞の自動化ハイスループット選別に基づいて、目的の標的に対するナノボディが得られ、本発明に関連して用いられ得る。]
[0127] ユニボディ(UniBody)は、IgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づく、別の抗体フラグメント技術である。ヒンジ領域の除去により、従来のIgG4抗体の本質的に半分のサイズであって、2価の結合領域よりむしろ1価の結合領域を有する分子が得られる。さらに、ユニボディはおおよそより小さいので、より大きな固形腫瘍全体によりよく分布し、有利な効果の可能性を示し得る。ユニボディに関するさらなる詳細はWO 2007/059782を参照することにより得られ、それは引用によりその全般が援用される。]
[0128] アフィボディ分子は、ブドウ球菌プロテインAの3つのへリックスバンドルIgG-結合ドメイン由来の58-アミノ酸残基タンパク質ドメインに基づく親和性タンパク質である。このドメインはコンビナトリアルファージミドライブラリーの構築のための骨格として用いられており、そこからファージディスプレイ技術を用いて目的の分子を標的にするアフィボディ変異体が選択され得る(Nord et al., Nat Biotechnol 1997;15:772-7; Ronmark et al., Eur J Biochem 2002;269:2647-55)。アフィボディ分子は、その単純で強固な構造および低い分子量(6 kDa)によって、様々な用途(例えば検出試薬および受容体相互作用の阻害剤)に適している。アフィボディに関するさらなる詳細はUS 5,831,012に記載されており、それは引用によりその全般が援用される。標識アフィボディはまた、アイソフォームの存在量の決定のためのイメージング用途においても有用である。]
[0129] DARPin(設計アンキリン反復タンパク質(Designed Ankyrin Repeat Protein))は、非抗体ポリペプチドの結合能を開発利用するDRP(設計反復タンパク質(Designed Repeat Protein))抗体模倣技術の具体例である。反復タンパク質、例えばアンキリンおよびロイシン-リッチな反復タンパク質は、抗体とは異なり、細胞内および細胞外で生じる偏在性の結合分子である。それらの特有のモジュール構造は、共に積み重なって可変性を示す伸長された反復ドメインおよびモジュール標的結合表面を形成する、構造単位を繰り返すこと(反復)を特徴とする。このモジュール性に基づいて、高度に多様化された結合特異性を有するポリペプチドのコンビナトリアルライブラリが形成され得る。この方策には、可変表面残基および反復ドメインへのそのランダムなアセンブリーを提示する自家和合性反復の共通設計が含まれる。DARPinおよび他のDRP技術に関するさらなる情報は、US 2004/0132028およびWO 02/20565中に見いだすことができ、その両方とも引用により援用される。]
[0130] アンチカリンは別の抗体模倣技術である。この場合、結合特異性はヒト組織および体液において天然に豊富に発現される低分子量タンパク質のファミリーであるリポカリン由来である。リポカリンは、in vivoにおいて、生理学的輸送および化学的感受性もしくは不溶性の化合物の保存に関連する様々な機能を果たすように進化してきた。リポカリンは、タンパク質の一末端で4つのループを支持する高度に保存されたβ-バレルを含有する、強固な固有の構造を有する。これらのループが結合ポケットへの入り口を形成し、分子のこの部分における立体構造上の差違が個々のリポカリン間の結合特異性におけるバリエーションを決定づけている。]
[0131] 保存されたβ-シートフレームワークにより支持された高頻度可変ループの全体構造はイムノグロブリンを連想させるが、リポカリンはサイズに関して抗体とは大きく異なっていて、160-180のアミノ酸の単一のポリペプチド鎖からなっており、それは単一の免疫グロブリンドメインよりもわずかに大きい。]
[0132] リポカリンをクローニングし、それらのループを改変してアンチカリンを作り出すことができる。構造的に多様なアンチカリンのライブラリが作製されており、アンチカリンの提示は、結合機能の選択およびスクリーニング、それに続く原核生物系もしくは真核生物系におけるさらなる分析のための可溶性タンパク質の発現および産生を可能にする。研究により、実質的にいずれのヒト標的タンパク質に特異的なアンチカリンを開発することができ、ナノモル以上の範囲の結合親和性が得られることが証明されている。アンチカリンに関するさらなる情報はUS 7,250,297およびWO 99/16873に見いだすことができ、その両方とも引用によりその全般が本明細書に援用される。]
[0133] アビマーは、本発明と関連して有用な別のタイプの抗体模倣技術である。アビマーは、エクソンシャッフリングおよびファージディスプレイにより、大きなヒト細胞外受容体ドメインファミリーから得られ、結合特性および阻害特性を有する多ドメインタンパク質を生成する。複数の独立した結合ドメインの連結により、結合活性が生み出され、それにより従来の単一エピトープ結合タンパク質に比べて改善された親和性および特異性がもたらされることが示されている。他の潜在的な利点としては、大腸菌における多標的特異的分子の単純で効率的な産生、改善された熱安定性およびプロテアーゼに対する耐性が挙げられる。ナノモル以下の親和性を有するアビマーが、様々な標的に対して得られている。アビマーに関するさらなる情報はUS 2006/0286603、2006/0234299、2006/0223114、2006/0177831、2006/0008844、2005/0221384、2005/0164301、2005/0089932、2005/0053973、2005/0048512、2004/0175756に見いだすことができ、それら全ては引用によりその全般が本明細書に援用される。]
[0134] ベルサボディは、本発明に関連して有いることができる別の抗体模倣技術である。ベルサボディは、>15%のシステインを有する3-5 kDaの小さなタンパク質であり、典型的なタンパク質が有する疎水性コアに置き換わる高いジスルフィド密度の骨格を形成する。より小さく、より親水性であり(すなわち、凝集および非特異的結合をする傾向が低い)、プロテアーゼおよび熱に対してより耐性があり、MHC提示に最も貢献する残基が疎水性であることからT-細胞エピトープの密度がより低いタンパク質が、この置換によりもたらされる。これらの特性は免疫原性に影響することがよく知られており、それらはともに免疫原性の大幅な低下をもたらすと予期される。]
[0135] ベルサボディの構造を考慮すると、これらの抗体模倣体は、多価、多重特異性、多様な半減期メカニズム、組織ターゲティングモジュールおよび抗体Fc領域の欠損を含む、多用途形式を提示する。さらに、ベルサボディは大腸菌において高収率で製造され、ベルサボディは親水性でサイズが小さいことからそれらは高溶解性であり、高濃度で製剤化され得る。ベルサボディは非常に熱安定であり、有効期間を伸ばす。ベルサボディに関するさらなる情報はUS 2007/0191272に見いだすことができ、それは引用によりその全般が本明細書に援用される。]
[0136] 抗体フラグメントおよび模倣技術の上述の記載は包括的であることを意図しない。代替ポリペプチドに基づく技術(例えば、Qui et al., Nature Biotechnology, 25(8) 921-929 (2007)に概説される相補性決定領域の融合)、ならびに核酸に基づく技術(例えば、US 5,789,157; 5,864,026; 5,712,375; 5,763,566; 6,013,443; 6,376,474; 6,613,526; 6,114,120; 6,261,774; および6,387,620;(その全ては引用により本明細書に援用される)に記載のRNAアプタマー技術を含む、様々なさらなる技術が本発明に関連して用いられ得る。]
[0137] 本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明の別の態様は、本発明の抗体をコードする核酸分子に関する。該核酸は、ホールセルで、細胞溶解物で、または部分精製形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、他の細胞成分もしくは他の夾雑物(例えば、他の細胞核酸もしくはタンパク質)から、標準的な技法(アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動およびその他当分野において周知のものが含まれる)によって精製されて、「単離される」か、または「実質的に純粋にされる」。F. Ausubel, et al., ed. (1987) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New Yorkを参照。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであることができ、イントロン配列を有しても有さなくてもよい。好ましい実施態様において、該核酸はcDNA分子である。]
[0138] 該核酸は、標準的な分子生物学的技法を用いて得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、以下に記載の、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから調製したハイブリドーマ)により発現される抗体について、ハイブリドーマにより作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、標準的なPCR増幅もしくはcDNAクローニング技法により得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリから得られる抗体(例えば、ファージディスプレイ技法を用いて)について、抗体をコードする核酸は該ライブラリから回収することができる。]
[0139] 好ましい核酸は、19G9もしくは34E1モノクローナル抗体のVHおよびVL配列をコードするものである。19G9および34E1のVH配列をコードするDNA配列は、各々、配列番号: 17-18で示される。19G9および34E1のVL配列をコードするDNA配列は、各々、配列番号: 19-20で示される。]
[0140] VHおよびVLセグメントをコードするDNAフラグメントが得られたところで、それらを標準的な組換えDNA技法により操作して、例えば、可変領域遺伝子を、全長抗体鎖遺伝子、Fabフラグメント遺伝子、またはscFv遺伝子に変換することができる。これらの操作において、VL-もしくはVH-コードDNAフラグメントは、別のタンパク質(例えば抗体定常領域または可動性リンカー)をコードする別のDNAフラグメントに作動可能に連結される。この文脈で用いられる用語「作動可能に連結した」とは、それによりコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように2つのDNAフラグメントが結合していることを意味する。]
[0141] VH-コードDNAを、重鎖定常領域CH1、CH2およびCH3をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより、VH領域をコードする単離されたDNAを全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で公知であり(例えば、Kabat‘3242参照)、それらを包含するDNAフラグメントはPCR増幅により得ることができる。該重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であることができるが、最も好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。Fabフラグメント重鎖遺伝子について、該VH-コードDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードするDNAに作動可能に連結することができる。]
[0142] VL-コードDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することにより、VL領域をコードする単離されたDNAを全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で公知であり(例えば、Kabat‘3242参照)、それらを包含するDNAフラグメントはPCR増幅により得ることができる。好ましい実施態様において、該軽鎖定常領域はκまたはλ定常領域であり得る。]
[0143] scFv遺伝子の作製のため、VH-およびVL-コードDNAフラグメントを、可動性リンカーをコードする別のフラグメント、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3をコードする別のフラグメントに作動可能に連結させることにより、VHおよびVL配列は、可動性リンカーにより結合されたVLおよびVH領域を有する、近接する1本鎖タンパク質として発現され得る(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552-554を参照)。]
[0144] モノクローナル抗体の産生
本発明において用いるモノクローナル抗体(mAb)は、様々な技法(従来のモノクローナル抗体方法、例えば、Kohler and Milstein (1975) Nature 256: 495の体細胞ハイブリダイゼーション法が含まれる)により製造することができる。体細胞ハイブリダイゼーション法が好ましいけれども、原理上は他の技法、例えば、Bリンパ球のウイルス性形質転換もしくは癌化を用いることができる。]
[0145] ハイブリドーマの調製に好ましい動物系はマウス系である。マウスにおけるハイブリドーマの産生は極めて十分に確立された方法である。融合用の免疫化脾細胞を単離するための免疫化方法および技法が当分野において公知である。融合パートナー(例えば、マウスミエローマ細胞)および融合方法もまた公知である。]
[0146] キメラまたはヒト化抗体は、上記のとおり調製された非-ヒトモノクローナル抗体の配列に基づいて調製され得る。重鎖および軽鎖イムノグロブリンをコードするDNAは、目的の非-ヒトハイブリドーマから得ることができ、標準的な分子生物学的技法を用いて、非-マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含むように改変され得る。例えば、キメラ抗体を作製するために、当分野で公知の方法を用いて、マウス可変領域をヒト定常領域に連結することができる(例えば、Cabilly et al.のUS 4,816,567を参照)。ヒト化抗体を作製するために、当分野で公知の方法を用いて、マウスCDR領域をヒトフレームワークに挿入することができる(例えば、WinterのUS 5,225,539、ならびにQueen et al.のUS 5,530,101; 5,585,089; 5,693,762および6,180,370を参照)。]
[0147] 好ましくは、本発明の抗体はヒトモノクローナル抗体である。RG-1に対するヒトモノクローナル抗体は、マウス免疫系よりむしろヒト免疫系の各部を保有するトランスジェニックもしくはトランス染色体(transchromosomic)マウスを用いて、得ることができる。これらのトランスジェニックおよびトランス染色体マウスには、本明細書において、各々、HuMAbマウス(登録商標)およびKMマウス(登録商標)型または系統のマウスと称されるマウスが含まれ、本明細書においてはまとめて「ヒトIgマウス」と称する。]
[0148] HuMAbマウス(登録商標)系統(Medarex(登録商標), Inc.)は、再配列していないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を、内在性μおよびκ鎖遺伝子座を不活性化する標的変異とともに有する(例えば、Lonberg et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859を参照)。従って、該マウスは、マウスIgMまたはκの発現低下を示し、免疫化に反応して、導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチおよび体細胞変異を経て高親和性ヒトIgGκモノクローナル抗体を産生する(Lonberg et al. (1994), 上記; Lonberg (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101; Lonberg and Huszar (1995) Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93、およびHarding and Lonberg (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci. 764:536-546に概説)。HuMAbマウス(登録商標)系統のマウスの作製および使用、ならびにそのようなマウスが保有するゲノム修飾は、Taylor et al. (1992) Nucleic AcidsResearch 20:6287-6295; Chen et al. (1993) International Immunology 5: 647-656; Tuaillon et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3720-3724; Choi et al. (1993) Nature Genetics 4:117-123; Chen et al. (1993)EMBO J. 12: 82**30; Tuaillon et al. (1994) J. Immunol. 152:2912-2920; Taylor et al. (1994) International Immunology 6: 579-591; および、Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851にさらに記載されており、その全ての内容はその全般が引用により本明細書に具体的に援用される。さらに、Lonberg and KayのUS 5,545,806; 5,569,825; 5,625,126; 5,633,425; 5,789,650; 5,877,397; 5,661,016; 5,814,318; 5,874,299; および5,770,429; Surani et al.のUS 5,545,807; Lonberg and KayのWO 92/03918、WO 93/12227、WO 94/25585、WO 97/13852、WO 98/24884およびWO 99/45962; ならびにKorman et alのWO 01/14424を参照。]
[0149] 別の実施態様において、ヒト抗体は、導入遺伝子およびトランス染色体(例えば、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖トランス染色体)上にヒト免疫グロブリン配列を保有するマウスを用いて得ることができる。そのようなマウスは本明細書において「KMマウス(登録商標)」型であると称され、Ishida et al.のWO 02/43478に詳述されている。]
[0150] さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別のトランスジェニック動物系が当分野で利用可能であり、それを用いて本発明の抗-RG-1抗体を産生させることができる。例えば、Xenomouse(Abgenix, Inc.)と称される別のトランスジェニック系を用いることができる; そのようなマウスは、例えば、Kucherlapati et al.のUS 5,939,598; 6,075,181; 6,114,598; 6,150,584および6,162,963に記載されている。]
[0151] さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する別のトランス染色体動物系が当分野において利用可能であり、それを用いて本発明の抗-RG-1抗体を産生させることができる。例えば、「TCマウス」と称される、ヒト重鎖トランス染色体およびヒト軽鎖トランス染色体の両方を保有するマウスを用いることができ; そのようなマウスはTomizuka et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727に記載されている。さらに、ヒト重鎖および軽鎖トランス染色体を保有するウシが、当分野(Kuroiwa et al. (2002) Nature Biotechnology 20:889-894)およびWO 2002/092812に記載されており、それを用いて本発明の抗-RG-1抗体を作製することができる。]
[0152] 本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を用いて製造することができる。例えば: Ladner et al.のUS 5,223,409; 5,403,484; および5,571,698; Dower et al.のUS 5,427,908および5,580,717; McCafferty et al.のUS 5,969,108および6,172,197;ならびにGriffiths et al.のUS 5,885,793; 6,521,404; 6,544,731; 6,555,313; 6,582,915および6,593,081を参照。]
[0153] 本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、免疫するとヒト抗体反応を生じることができるようにヒト免疫細胞を再構成したSCIDマウスを用いて製造することができる。そのようなマウスは、例えば、Wilson et al.のUS 5,476,996および5,698,767に記載されている。]
[0154] ヒトIgマウスの免疫化
ヒトIgマウスを用いてヒト抗体を産生させる場合、Lonberg et al. (1994) Nature 368(6474): 856 859; Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851; ならびにWO 98/24884およびWO 01/14424に記載のとおり、精製または濃縮したRG-1抗原および/または組換えRG-1調製物か、またはRG-1を発現する細胞、あるいはRG-1融合タンパク質を用いて、それらを免疫化することができる。好ましくは、初回注入時に6-16週齢でありうる。例えば、精製もしくは組換えRG-1抗原調製物(5-50 μg)を用いて、ヒトIgマウスに、腹腔内に免疫することができる。]
[0155] 様々な抗原を用いた累積実験により、トランスジェニックマウスは、最初に完全フロイントアジュバント中の抗原を用いて腹腔内に(IP)免疫し、その後不完全フロイントアジュバント中の抗原を用いて隔週でIP免疫(計6まで)した場合に、応答することが示されている。しかしながら、フロイント以外のアジュバントもまた有効であることが分かっている。加えて、アジュバント非存在下のホールセルは高い免疫原性であることが分かっている。該免疫応答は、後眼窩採血によって得た血漿サンプルを用いる一連の免疫化プロトコールを通してモニターすることができる。血漿はELISAによりスクリーニングすることができ、十分な力価の抗-RG-1ヒト免疫グロブリンを有するマウスを融合に用いることができる。マウスは、屠殺および脾臓摘出の3日前に抗原を静脈内に追加免疫され得る。各免疫化に対して2-3融合が必要とされ得ると予想される。典型的には、各抗原について6から24匹のマウスを免疫化する。通常はHCo7とHCo12系統の両方を用いる。さらに、HCo7とHCo12導入遺伝子の両方を一緒に、2つの異なるヒト重鎖導入遺伝子(HCo7/HCo12)を有する単一のマウスに育種することができる。別法としてまたはさらに、KMマウス(登録商標)系統を用いることができる。]
[0156] ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫化マウスからの脾細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、適当な不死化細胞株(例えばマウスミエローマ細胞株)に融合することができる。得られたハイブリドーマを抗原-特異的抗体の産生についてスクリーニングすることができる。例えば、免疫化マウスからの脾臓リンパ球の単一細胞懸濁液を、P3X63-Ag8.653非分泌性マウスミエローマ細胞(ATCC, CRL 1580)の数の6分の1に、50% PEGを用いて融合させることができる。別法として、免疫化マウスからの脾臓のリンパ球の単一細胞懸濁液を、CytoPulse大型チャンバー細胞融合エレクトロポレーター(CytoPulse Sciences, Inc., Glen Burnie Maryland)を用いて、電界に基づく電気融合法により、融合することができる。細胞を、約2 x 105で、平底マイクロタイタープレートに蒔いた後、20%のfetal Clone血清、18%の“653”条件培地、5%のorigen(IGEN)、4 mMのL-グルタミン、1 mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055 mMの2-メルカプトエタノール、50 単位/mlのペニシリン、50 mg/mlのストレプトマイシン、50 mg/mlのゲンタマイシンおよび1XHAT(Sigma; 該HATは融合の24時間後に添加する)を含有する選択培地中において、2週間培養した。約2週間後、細胞はHATがHTで置換されている培地中で培養され得る。その後、個々のウェルを、ヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体について、ELISAによりスクリーニングすることができる。大規模なハイブリドーマ増殖が生じた後、通常10-14日後に、培地が観察され得る。抗体分泌性ハイブリドーマを再播種し、再度スクリーニングし、ヒトIgGについて依然として陽性である場合、該モノクローナル抗体を少なくとも2回、限界希釈によりサブクローニングすることができる。次いで、キャラクタライズのため、安定なサブクローンをin vitroで培養して組織培地中に少量の抗体を産生させることができる。]
[0157] ヒトモノクローナル抗体の精製のため、選択したハイブリドーマはモノクローナル抗体精製用の2Lのスピナーフラスコ中で増殖され得る。上清を濾過して濃縮した後、プロテインA-セファロース(Pharmacia, Piscataway, N.J.)を用いたアフィニティークロマトグラフィーで処理することができる。溶離されたIgGは、ゲル電気泳動法および高速液体クロマトグラフィーによって検査することにより純度を確かめることができる。該緩衝液をPBSに交換し、吸光係数1.43を用いてOD280により、濃度を決定することができる。該モノクローナル抗体は、アリコートにして-80℃で保存することができる。]
[0158] モノクローナル抗体を産生するトランスフェクトーマの作製
本発明で用いる抗体はまた、例えば、組換えDNA技法と遺伝子導入方法の組み合わせを用いて、宿主細胞トランスフェクトーマにおいても産生され得る(例えば、Morrison, S. (1985) Science 229:1202)。]
[0159] 部分または全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAを標準的な技法(例えば、目的の抗体を発現するハイブリドーマを用いたPCR増幅またはcDNAクローニング)により得ることができ、該DNAを転写および翻訳制御配列に作動可能に連結するように発現ベクターに挿入し、抗体またはその抗体フラグメントを発現させる。用語「作動可能に連結した」とは、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写および翻訳を制御するそれらの所望の機能を保持するように、ベクターに連結されていることを意味する。該発現ベクターおよび発現制御配列は、用いる発現宿主細胞に適合するように選択される。該抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は別個のベクターに挿入され得るか、または、より典型的には、両方の遺伝子は同一の発現ベクターに挿入される。該抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子フラグメントおよびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または、制限部位が存在しない場合には平滑末端ライゲーション)によって、発現ベクターに挿入される。本明細書に記載の抗体のVLおよびVHを用いて、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるように、それらを目的のアイソタイプの重鎖定常領域および軽鎖定常領域をすでにコードする発現ベクターに挿入することによって、いずれの抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子をも作製することができる。さらにまたは別法として、該組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。該抗体鎖遺伝子を、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、ベクターにクローニングすることができる。該シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非-免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。]
[0160] 抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞において抗体鎖遺伝子の発現を制御する制御配列を保有する。用語「制御配列」は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御因子(例えば、ポリアルデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような制御配列は、例えば、Goeddel (Gene Expression Technology. Methodsin Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990))に記載されている。発現ベクターの設計(制御配列の選択を含む)は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの要素に依存しうることが、当業者には理解されるであろう。哺乳動物の宿主細胞発現の好ましい制御配列には、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を誘導するウイルス性要素、例えばサイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー (例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))ならびにポリオーマが含まれる。別法として、非ウイルス性制御配列、例えばユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーター、を用いてもよい。さらに、制御要素は異なる源(例えばSRαプロモーター系)由来の配列から成り、それはSV40初期プロモーターおよびヒトT細胞白血病ウイルス1型の末端反復配列からの配列を含む(Takebe, Y. et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。]
[0161] 本発明の組換え発現ベクターは、抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、さらなる配列、例えば宿主細胞においてベクターの複製を制御する配列(例えば、複製開始点)、および選択マーカー遺伝子を保有し得る。該選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する(例えば、US 4,399,216、4,634,665および5,179,017(全てAxel et al.による)を参照)。例えば典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に、薬物(例えばG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサート)に対する耐性を与える。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅によるdhfr- 宿主細胞における使用のため)およびネオ遺伝子(G418選択のため)が含まれる。]
[0162] 軽鎖および重鎖の発現のため、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする。様々な形態の用語「トランスフェクション」は、原核もしくは真核宿主細胞への外因性DNAの導入に共通して用いられる様々な技法(例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなど)を包含することを意図する。原核もしくは真核宿主細胞のいずれかにおいて本発明の抗体を発現させることは論理的には可能であるけれども、真核細胞(とりわけ哺乳動物細胞)は、正確に折りたたまれており免疫学的に活性な抗体の構築および分泌する可能性が高いので、真核細胞(最も好ましくは哺乳動物宿主細胞)における抗体の発現が最も好ましい。抗体遺伝子の原核生物での発現は活性抗体の高収率の産生に効果がないことが報告されている(Boss and Wood (1985) Immunology Today 6:12-13)。]
[0163] 本発明の組換え抗体の発現のための好ましい哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(DHFR選択マーカー、例えばKaufman and Sharp (1982) J. Mol. Biol. 159:601-621に記載のものと共に用いる、Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載のdhfr- CHO細胞が含まれる)、NSOミエローマ細胞、COS細胞およびSP2細胞が挙げられる。NSOミエローマ細胞とともに用いる場合、好ましい発現系はWO 87/04462(Wilson所有)、WO 89/01036(Bebbington所有)およびEP 338,841(Bebbington所有)に記載のGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子を発現する組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入される場合、該抗体は、宿主細胞中で抗体が発現されるのに十分な時間、より好ましくは宿主細胞が増殖している培地へ抗体が分泌されるのに十分な時間、培養することによって産生される。標準的なタンパク質精製方法を用いて、培地から抗体を回収することができる。]
[0164] 抗原に結合する抗体のキャラクタライズ
標準的なELISAにより、RG-1への結合について抗体を試験することができる。手短に説明すると、マイクロタイタープレートを、PBS中に0.25μg/mlの精製RG-1を用いてコーティングし、次いで、5%ウシ血清アルブミン/PBSでブロッキングする。抗体の希釈物(例えば、RG-1-免疫化マウス由来の血漿の希釈物)を各ウェルに添加し、1-2時間、37℃でインキュベートする。該プレートをPBS/Tweenで洗浄した後、アルカリホスファターゼに結合した二次試薬(例えば、ヒト抗体に対しては、ヤギ-抗-ヒトIgGFc-特異的ポリクローナル試薬)とともに、37℃で1時間インキュベートする。洗浄後、該プレートをpNPP基質(1 mg/ml)で発色させ、OD405-650で分析する。好ましくは、最も高い力価を産生するマウスが融合に用いられ得る。]
[0165] 上記のELISAアッセイを用いて、RG-1免疫原と陽性の反応性を示すハイブリドーマについてスクリーニングすることもできる。高い結合活性でRG-1に結合するハイブリドーマをサブクローニングしてさらにキャラクタライズする。親細胞の反応性を保持する(ELISAによる)各ハイブリドーマから1クローンを、-140 ℃で保存される5-10の細胞バンクの作製、および抗体精製のために選択することができる。]
[0166] 抗-RG-1抗体の精製のため、選択されたハイブリドーマはモノクローナル抗体精製用の2Lのスピナーフラスコ中で増殖され得る。上清を濾過して濃縮した後、プロテインA-セファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーで処理することができる(Pharmacia, Piscataway, NJ)。溶離されたIgGは、ゲル電気泳動法および高速液体クロマトグラフィーによって検査することにより、純度を確かめることができる。該緩衝液をPBSに交換し、吸光係数1.43を用いてOD280により、濃度を決定することができる。モノクローナル抗体は、アリコートにして、-80 ℃で保存することができる。]
[0167] 選択された抗-RG-1モノクローナル抗体が固有のエピトープに結合するかどうかを決定するため、市販の試薬を用いて抗体をビオチン化することができる(Pierce, Rockford,IL)。RG-1コート-ELISAプレートを用いて、未標識のモノクローナル抗体とビオチン化モノクローナル抗体を用いた競合試験を実施することができる。ビオチン化mAbの結合は、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼプローブを用いて検出することができる。]
[0168] 特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を用いてアイソタイプELISAを実施し、精製抗体のアイソタイプを決定することができる。例えば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプを決定するために、1 μg/mlの抗-ヒト免疫グロブリンを用いて4 ℃で終夜、マイクロタイタープレートのウェルをコーティングすることができる。1%BSAでブロッキングした後、周囲温度で1から2時間、該プレートを1 μg /ml以下の試験モノクローナル抗体または精製アイソタイプコントロールと反応させる。その後、該ウェルをヒトIgG1またはヒトIgM-特異的アルカリホスファターゼ-結合プローブのいずれかと反応させることができる。プレートを上記の通り発色させて分析する。]
[0169] 抗-RG-1ヒトIgGを、ウエスタンブロットにより、RG-1抗原との反応性についてさらに試験することができる。手短に説明すると、RG-1を調製してドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法で処理する。次いで、分離した抗原をニトロセルロース膜に移し、10%ウシ胎仔血清でブロッキングし、試験するモノクローナル抗体でプローブする。ヒトIgGの結合は、抗-ヒトIgGアルカリホスファターゼを用いて検出し、BCIP/NBT基質錠剤を用いて発色させることができる(Sigma Chem. Co., St. Louis, Mo.)。]
[0170] 本発明の抗体の結合特異性はまた、RG-1を発現する細胞への抗体の結合をモニターすることにより(例えばフローサイトメトリーにより)決定され得る。典型的には、RG-1の膜貫通型をコードする発現ベクターを用いて、細胞株(例えばCHO細胞株)をトランスフェクトしてもよい。トランスフェクトされたタンパク質は、タグに対する抗体を用いた検出のため、好ましくはN-末端にタグ(例えばmyc-タグ)を有していてよい。RG-1に対する本発明の抗体の結合を、抗体でトランスフェクトされた細胞をインキュベートし、結合抗体を検出することにより、決定してもよい。トランスフェクトされたタンパク質上でのタグへの抗体の結合を、陽性コントロールとして用いてもよい。]
[0171] 抗体が他のタンパク質(例えば、PROTEIN YまたはRG-1)に結合するか否かを、RG-1への結合の決定と同様の方法を用いて決定することによって、RG-1に対する本発明の抗体の特異性をさらに試験してもよい。]
[0172] 二重特異性分子
複合体の抗体部分は二重特異性分子であり得る。抗-RG-1抗体またはそのフラグメントを、別の機能分子、例えば、別のペプチドもしくはタンパク質(例えば、別の抗体もしくは受容体に対するリガンド)を用いて誘導体化するか、あるいはそれに連結して、少なくとも2つの異なる結合部位または標的分子に結合する二重特異性分子を作製することができる。実際のところ該抗体を2つ以上の他の機能分子に誘導体化するかまたは連結させて、3つ以上の異なる結合部位および/または標的分子に結合する多重特異的分子を作製してもよく; そのような多重特異的分子はまた、本明細書で用いられる用語「二重特異性分子」によって包含されると意図される。二重特異性分子を作出するために、抗体を、1つ以上の他の結合分子、例えば別の抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは結合模倣体に、二重特異性分子が得られるように機能的に連結させる(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合性会合もしくはその他により)ことができる。]
[0173] 該二重特異性分子は、少なくとも1つのRG-1に対する第1の結合特異性および、Fc受容体(例えば、ヒトFcγRI(CD64)またはヒトFcα受容体(CD89))などの第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含有する。FcγR発現エフェクター細胞もしくはFcαR発現エフェクター細胞(例えば、単球、マクロファージまたは多形核細胞(PMN))、およびRG-1を発現する細胞の両方に結合する能力のある、かかる二重特異性分子。これらの二重特異性分子は、エフェクター細胞に対するRG-1発現細胞を標的とし、Fc受容体-媒介エフェクター細胞活性(例えば、RG-1発現細胞の食作用、抗体依存性細胞-媒介細胞毒素性(ADCC)、サイトカイン放出、またはスーパーオキシドアニオンの生成)を誘発する。]
[0174] 二重特異性分子は、実際には多重特異的であることができ、すなわち、抗-Fc結合特異性および抗-RG-1結合特異性に加えて第3の結合特異性をさらに含むことができる。一実施態様において、該第3の結合特異性は、抗-増強因子(enhancement factor)(EF)部分、例えば、細胞傷害活性に関与する表面タンパク質に結合することによって標的細胞に対する免疫応答を増大させる分子である。該「抗-増強因子部分」は、所定の分子(例えば、抗原または受容体)に結合してそれによりFc受容体または標的細胞抗原に対する結合決定因子の効力を高める、抗体、機能的抗体フラグメントまたはリガンドであり得る。該「抗-増強因子部分」は、Fc受容体または標的細胞抗原か、あるいは第1および第2の結合特異性が結合するものとは異なるものに結合することができる。例えば、該抗-増強因子部分は、細胞傷害性T-細胞(例えば、標的細胞に対する免疫応答を増大させるCD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM-1または他の免疫細胞を介して)を結合することができる。]
[0175] 一実施態様において、本発明の二重特異性分子は、結合特異性として、少なくとも1つの抗体またはその抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、Fd、dAbまたは単鎖Fvが含まれる)を含有する。該抗体はまた、軽鎖もしくは重鎖二量体、またはそのいずれの最小フラグメント(例えば、Ladner et al.のUS 4,946,778(その内容は引用により明示的に援用される)に記載のFvもしくは単鎖コンストラクト)であってもよい。]
[0176] 一実施態様において、Fcγ受容体についての結合特異性はモノクローナル抗体により得られ、その結合はヒト免疫グロブリンG(IgG)によって遮断されない。本明細書で用いる用語「IgG受容体」とは、染色体1上に位置する8つのγ-鎖遺伝子のうちのいずれかを言う。これらの遺伝子は、3つのFcγ受容体クラス: FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)にグループ化される、計12の膜貫通または可溶性受容体アイソフォームをコードする。1つの好ましい実施態様において、該Fcγ受容体はヒト高親和性FcγRIである。該ヒトFcγRIは72 kDaの分子であり、単量体IgGに対する高親和性を示す(108 - 109 M-1)。]
[0177] 抗-Fcγモノクローナル抗体の産生およびキャラクタライズはFanger et al.のWO 88/00052およびUS 4,954,617に記載されており、それらは引用により全てが本明細書に援用される。これらの抗体は、受容体のFcγ結合部位とは異なる部位で、FcγRI、FcγRIIまたはFcγRIIIのエピトープに結合し、それ故に、それらの結合は生理学的濃度のIgGにより実質的には遮断されない。本発明において有用な具体的な抗-FcγRI抗体は、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62およびmAb197である。mAb32を産生するハイブリドーマは、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関から入手可能で、ATCC寄託番号HB9469である。他の実施態様において、該抗-Fcγ受容体抗体はモノクローナル抗体22(H22)のヒト化形態である。H22抗体の産生およびキャラクタライズは、Graziano et al. (1995) J. Immunol 155 (10): 4996-5002およびTempest et al.のWO 94/10332に記載されている。H22抗体産生細胞株はHA022CL1の称号の下でアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関に寄託されており、寄託番号 CRL 11177を有する。]
[0178] さらに他の好ましい実施態様において、Fc受容体に対する結合特異性は、ヒトIgA受容体、例えば、Fc-α受容体(FcαRI(CD89))に結合する抗体により得られ、その結合は好ましくはヒト免疫グロブリンA(IgA)によって遮断されない。用語「IgA受容体」は、染色体19上に位置する1つのα-遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むことを意図する。この遺伝子は、55から110 kDaのいくつかの、選択的スプライスによる(alternatively spliced)膜貫通アイソフォームをコードすると知られている。FcαRI(CD89)は、非-エフェクター細胞集団上では発現されないが、単球/マクロファージ、好酸性および好中性の顆粒球上では恒常的に発現される。FcαRIは、IgA1とIgA2の両方に対して中程度の親和性(≒5 × 107 M-1)を有し、それはサイトカイン(例えばG-CSFまたはGM-CSF)に曝露すると増大される (Morton, H.C. et al. (1996) Critical Reviews in Immunology 16:423-440)。IgAリガンド結合ドメインの外部のFcαRIを結合する、A3、A59、A62およびA77として同定された4つのFcαRI-特異的モノクローナル抗体が記載されている(Monteiro, R.C. et al. (1992) J. Immunol. 148:1764)。]
[0179] FcαRIおよびFcγRIは、(1)主に、免疫エフェクター細胞、例えば、単球、PMN、マクロファージおよび樹状細胞上で発現され; (2)高レベル(例えば、5,000-100,000/細胞)で発現され; (3)細胞毒素性活性(例えば、ADCC、食作用)のメディエーターであり; そして、(4)それらを標的とする抗原(自己抗原を含む)の抗原提示の増強を媒介することから、本発明の二重特異性分子において用いるために好ましい誘発受容体(trigger receptor)である。]
[0180] ヒトモノクローナル抗体が好ましいが、一方で、他の抗体を本発明の二重特異性分子において用いることができ、それは、マウスの、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体である。]
权利要求:

請求項1
ヒトモノクローナル抗体もしくはパートナー分子に結合したその抗原結合部分を含有する抗体-パートナー分子複合体であって、抗体もしくはその抗原結合部分はヒトRG-1を結合し、該複合体は以下の特性:(a)1 x 10-8 M以下のKDでヒトRG-1に結合するか;または、(b)in vivoにおいてRG-1-発現細胞の増殖を阻害するのうち少なくとも1つを示す、複合体。
請求項2
抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:1を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号:3を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号:5を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号:7を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号:9を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f)配列番号:11を含む軽鎖可変領域CDR3を含有する、請求項1に記載の複合体。
請求項3
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a) 配列番号:2を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号:4を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号:6を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号:8を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号:10を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号:12を含む軽鎖可変領域CDR3を含有する、請求項1に記載の複合体。
請求項4
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:13〜14およびいずれかの保存的修飾からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに、(b) 配列番号:15〜16およびいずれかの保存的修飾からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含有する、請求項1に記載の複合体。
請求項5
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:1、配列番号:2、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号:3、配列番号:4、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域 CDR2;(c)配列番号:5、配列番号:6、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域 CDR3;(d)配列番号:7、配列番号:8、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号:9、配列番号:10、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域 CDR2;および、(f)配列番号:11、配列番号:12、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域 CDR3を含有する、請求項1に記載の複合体。
請求項6
請求項1に記載の複合体であって、該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号:15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域か;または、(b)配列番号:14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号:16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含有する基準抗体により認識されるヒトRG-1上のエピトープに結合する、該複合体。
請求項7
該パートナー分子が細胞毒素である、請求項1に記載の複合体。
請求項8
該パートナー分子が、式(I):(式中、PDは、プロドラッグ化基を示す)により表される構造を有する、請求項1に記載の複合体。
請求項9
該プロドラッグ化基PDがカルバメート、ホスフェート、またはβ-グルクロン酸である、請求項8に記載の複合体。
請求項10
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:1、配列番号:2、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号:3、配列番号:4、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号:5、配列番号:6、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号:7、配列番号:8、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号:9、配列番号:10、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f)配列番号:11、配列番号:12、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR3を含有する、請求項8に記載の複合体。
請求項11
該パートナー分子が式(IV):により表される構造を有する、請求項1に記載の複合体。
請求項12
式(A):(式中、Abは抗体もしくはその抗原結合部分を示す)により表される構造を有する、請求項1に記載の複合体。
請求項13
請求項1に記載の複合体および医薬的に許容される担体を含有する組成物。
請求項14
RG-1-発現腫瘍細胞と請求項1に記載の複合体を接触させることによりRG-1-発現腫瘍細胞の増殖を阻害することを含む、RG-1-発現腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
請求項15
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:1、配列番号:2、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号:3、配列番号:4、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号:5、配列番号:6、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号:7、配列番号:8、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号:9、配列番号:10、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f)配列番号:11、配列番号:12、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR3を含有する、請求項14に記載の方法。
請求項16
該パートナー分子が、式(I):(式中、PDはプロドラッグ化基を示す)により表される構造を有する、請求項14に記載の方法。
請求項17
該パートナー分子が、式(IV):により表される構造を有する、請求項14に記載の方法。
請求項18
該複合体が、式(A):(式中、Abは抗体もしくはその抗原結合部分を示す)により表される構造を有する、請求項14に記載の方法。
請求項19
該RG-1-発現腫瘍細胞が前立腺癌細胞または膀胱癌細胞である、請求項14に記載の方法。
請求項20
治療を必要としている患者に有効な量の請求項1に記載の複合体を投与することによって該患者の癌を治療することを含む、患者における癌の治療方法。
請求項21
該癌が前立腺癌または膀胱癌である、請求項20に記載の方法。
請求項22
該癌が、肺癌、胃癌、乳癌、腎癌、膵癌、大腸癌、メラノーマ、または膵島細胞腺腫である、請求項20に記載の方法。
請求項23
該パートナー分子が細胞毒素である、請求項21に記載の方法.
請求項24
該パートナー分子が、式(I):(式中、PDはプロドラッグ化基を示す)により表される構造を有する、請求項21に記載の方法。
請求項25
該抗体もしくはその抗原結合部分が:(a)配列番号:1、配列番号:2、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号:3、配列番号:4、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号:5、配列番号:6、またはいずれかの保存的修飾を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号:7、配列番号:8、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号:9、配列番号:10、またはいずれかの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f)配列番号:11、配列番号:12、またはいずれの保存的修飾を含む軽鎖可変領域CDR3を含有する、請求項24に記載の方法。
請求項26
該パートナー分子が、式(IV):により表される構造を有する、請求項21に記載の方法。
請求項27
該複合体が、式(A):(式中、Abは抗体もしくはその抗原結合部分を示す)により表される構造を有する、請求項21に記載の方法。
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